『共同養育・共同親権への提言』にあたって

「生き別れよりも共同養育を」

共同親権運動ネットワーク

私たちは主に離婚を契機に子どもに会えなくなった親のグループです。
離婚を契機に子どもに会えなくなった親たちの実態と現状の改善を訴えてきました。この間、離婚を経験した子どもたちや暴力や虐待の被害にあった方々、同居親の声を聞くに及び、問題の深刻さや大きさを改めて認識しています。

特にDVや虐待の場合における共同親権・共同養育に向けた立法化への懸念に関しては、私たちは立法や刑罰の適用による犯罪化という対処、引き離しという介入の手段は前提の上で考えてきましたが、私たちの間にもこれらの問題への理解が深まっていなかったことが運動への偏見を増していた部分もあると思います。提言集ではこういった事例における面会交流に関する手法や現在の問題点について若干検討しました。内容に関しても批判を受ける部分があるのはもちろんでしょうが、これらの施策に関しては、暴力の防止という観点から別個に論じられるべきと私たちは考えます。

親権の問題については、2人で子どもをなしたのだから2人で子どもの養育をすべきという共同養育義務は、離別の場合あまりにも問われることがありませんでした。養育放棄、あるいは「親らしいことがしてやれない」、あるいはできない状態の双方について改善を促すために、現状その障害となっている単独親権制度は共同親権に原則的に変えるべきであり、「共同養育のための共同親権」が私たちの基本的な考え方です。養育責任を問うという観点から、DVや虐待の問題も位置づけられなおす必要があります。子どもに親を捨てさせる発言を強いることもある現状を見るに及び、子どもの権利もその中で再検討されるべきです。暴力に対する警察や司法の関与とともに、暴力の有無にかかわらず第三者の関与や調整は広く検討されるべきです。立法化が家庭内暴力の防止と矛盾しないよう慎重な検討は必要ですが、そのことで他の問題の解決を遅らせるべきではありません。

共同養育・共同親権への提言

共同養育・共同親権への提言

また養育費という責任と面会交流という権利という問題の立て方ではなく、養育費もまた共同養育の権利の責任の一要素であるという位置づけが必要です。親権が一方的に剥奪されて子どもとの交流が絶たれ、親の権利の固有性が離婚時においては問題とされない現状はあまりにも疑問視されていないことを私たちは問題にしてきました。それが、連れ去りや面会拒否を助長しているため、その当事者として、現状できる改善策を提案しましたが、最終的には認識の変化が法改正という結果をもたらすと私たちは考えています。養育費の不払いもその中で位置づけられなおすべきです。

特に離婚をめぐる子の奪い合い紛争に関しては、引き離しそのものが何ら問題とされず、むしろそれを裁判所や弁護士が促すことに私たちは強い懸念を抱きます。親の権利という観点からは、会う会わせないではなくいかに会う方法を検討するかというのが家裁の役割となるはずです。法曹関係者の意識の変化と、特に家裁改革は法改正以前の問題です。

単独親権制度の発想に乗っ取った、男対女、同居親対別居親、勝ち負けの問題だけに議論を特化すべきではありません。
「生き別れよりも共同養育を」実現するために、議論の深まりと広まりを期待します。

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ハーグ条約の締結と国内親権法の整備を一体的に進めることを求める要望書