共同親権運動ネットネットワークは6月17日に IAPCR(一般社団法人国際親子リユニオン協会)とともに記者会見を行い、 「共同親権・共同養育への提言」を公表するとともに 「ハーグ条約の締結と国内親権法の整備を一体的に進めることを求める要望書」 を公表し、国際的な子の奪取問題が、単独親権制度に起因する 国内の連れ去り・面会拒否の問題であることをあらためて強調しました。 政府に向けた要望書は、2月23日付けで関係大臣部署に提出しました。 この問題については、別団体が父の日にデモを行っていますが、 国際的な子の連れ去り問題の改善を促すのにこの条約の締結は 意味がありますが、国内法の整備がなされないままのハーグ条約締結には 私たちは反対です。 ハーグ条約の締結と国内親権法の整備を 一体的に進めることを求める要望書 菅 直人 内閣総理大臣 様 岡田克也 外務大臣 様 千葉景子 法務大臣 様 2010年6月23日 東京都西新宿6-12-4コイトビル3F 共同親権運動ネットワーク  私たちは、主に離婚を契機に自分の子どもと会うのが困難になっている親のグループです。 鳩山由紀夫首相が2月25日に、「国際的な子供の奪取の民事面に関するハーグ条約」加盟について「日本は特殊な国だと思われつつあるから、できるだけ早く、結論を出すことが重要だと指示した」と述べて以来、国境をまたいだ子の奪取問題の議論が高まってきました。 法務省の見解は、以前から国内の法整備を行わなくても、現行法でハーグ条約の加盟は可能だというものです。たしかに、面会交流の調停を家裁に申し立てることができ、子の返還についても、子の引渡し請求や人身保護請求という手続はあります。しかし、これらの手続があるということと、実際に子どもと会えたり、子どもが返還されるかどうかということとは別の問題です。実効性のある法手続がない状態で、条約加盟が適切かどうか、議論をするのは意味がありません。 問題は、海外から子どもを連れ去った親から子どもを海外へと返還させるかどうかではなく、単独親権制度により離婚時に親権が片方の親から奪われることです。身柄を確保すれば親権を取れるため、親による子の連れ去りや面会拒否が常態化し、親が子どもの養育にかかわろうと思っても不可能になります。その結果、子どもの奪い合い紛争が過熱化するとともに、養育責任が問われず別居親の養育放棄が日常化し、他方ひとり親には過度の養育負担がかっています。こういった国内状況は、共同養育が一般化した海外から見ると、「特殊」で理解不能でしょう。 海外からDV被害を受けたり誘拐罪に問われる母子の返還は非情だという意見があります。もしそうであれば、国内に連れ去った母子の立場を議論する以前に、ハーグ条約加盟国に対しDV施策の徹底を求め、海外での被害邦人保護に尽力するとともに、海外の親子法の改善を促すのがまず第一の日本政府の役割ということになります。他方、海外から遠い異国である日本に連れ去られた親の苦悩を、日本政府は想像したことがあるのでしょうか。ハーグ条約は、双方の親から子どもが養育されることを保障するために、返還も含めた国際的な手続きを定めたものであり、子の返還のみが唯一の手段ではありません。ハーグ条約加盟を母子保護の文脈のみで議論することは一面的です。日本で子どもを連れ去られ会えなくなった父親、日本で父親に子どもを確保され会えなくなった母親、何より、日本に連れ去られ片親に会わせてもらえなくなった子どもへの配慮に欠けています。国内在住で子どもと会えなくなった外国籍の親がこの中に含まれます。私たちの子どもも親と引き離されています。国内から子どもを連れ去られた親のために、ハーグ条約未加盟国に返還を促したり、共同養育を広めるのも日本政府の役割です。子どもがどこにいようとも、双方の親と子どもとの接触と養育が可能となる施策の一環として、ハーグ条約加盟と、国内法整備を考えるべきです。 親権や共同養育についての抜本的な法改革をすることなしに、ハーグ条約の加盟を先行させることは、以上述べた現在不利益を被っている当事者を置き去りにすることです。国内の法整備とハーグ条約加盟に向けた国内の議論を深め、両者を一体的に進めることを私たちは求めます。 6月21日TBSニュースより http://news.tbs.co.jp/20100620/newseye/tbs_newseye4457520.html 「共同親権」制度化など求めデモ行進 父の日の20日、離婚で会えなくなった子どもとの面会交流の制度化などを求める外国人や日本人の親らが東京・渋谷でデモ行進を行いました。  「世界の常識だ!共同親権は世界の常識だ!」  デモ行進を行ったのは、離婚によって親権を失い子どもと会わせてもらえなくなったという親ら、およそ50人です。  日本では、離婚の後に父親か母親のいずれかが子どもの親権を得る「単独親権」制度をとっていますが、欧米では両親がともに親権を持つ「共同親権」が基本となっています。このため、日本人の妻に子どもを一方的に連れ帰られて会えなくなったとしてトラブルになるケースが後を絶ちません。  「日本政府はもう20年も『この問題を研究している』、『検討中です』と繰り返しています。正直、彼らに結論を出す気があるのかわかりません」  「(子どもを会わせない)元妻を非難しているのではない。(単独親権という)制度こそが私たちの敵なのです」(外国人参加者)  この問題では、アメリカやヨーロッパの国々が日本政府に対し、子どもの返還や面会の請求ができる国際条約「ハーグ条約」に加盟するよう求めるなど、国家間の問題にも発展しています。(21日02:31)