2013年1月30日
最高裁判所長官 竹﨑 博允 様
最高裁判所家庭局長 豊澤佳弘 様
東京家庭裁判所所長 西岡清一郎 様
東京家庭裁判所統括裁判官 矢尾和子 様

東京都国立市東3-17-11.B-202
TEL 03-6226-5419
共同親権運動ネットワーク

実効性ある面会交流の実施を求める要望書

実効性ある面会交流の実施を求める要望書

実効性ある面会交流の実施を求める要望書

常日頃から、利用者のための家庭裁判所の実現に向けて、日々努力を重ねられておりますこと、ありがとうございます。私たちは、主に離婚をきっかけにして子どもと交流するのが困難になった親のグループです。
以下、要望するとともに、その理由を述べます。

要望項目

1 子育ての権利、子どもの権利双方の視点から、児童心理や臨床心理に基づいた、国際的な基準に沿った「相当な面会交流」(隔週宿泊付き、長期休暇中の長期滞在)のガイドラインを年齢に応じて提示してください。
2 ガイドラインに沿った斡旋、決定を行い、早期の面会交流を実現し、手続保障の名のもとに、いたずらに調停や審判に時間をかけて片親疎外を進行させ、人質取引がなされることがないようにしてください。また、申し立てた時点での事情をもとに合意、決定をしてください。
4 調停欠席や、面会交流の不履行に対しては、現在できる限りの強制の方法を積極的に用いて、親子の引き離しが長期にわたることがないように、早期に対処してください。不履行がくり返された場合には、監護者として不適格であるとの認定してください。

理由

1 家事事件手続法の施行と東京家裁における「インフォームド・コンセント」
  2012年4月から「面会交流」が明文化された民法766条が施行されました。面会交流についての根拠規定ができたため、家庭裁判所がより積極的な面会交 流の斡旋を行うことが求められています。一方、2013年1月から家事事件手続法が施行されます。「当事者のための手続保障」を確保するために、東京家裁 においては初回調停時に同席での説明がなされるようになりました。「インフォームド・コンセント」(どのような調停や審判の運営がなされるか、あらかじめ 説明して見通しを示し、利用者の合意を得ながら進行すること)の考えが導入されることで、力関係で調停が行われることがないようになることを期待しており ます。

2 面会交流の現状
 ところで、面会交流が明文化されても、月に1度2時間程度(「最小面会」)という家裁の面会交流の斡旋や審判の決定 には変化がなく、また、その合意や取り決めの認容率も、申し立てた内の約半分という割合に変化がありません。また、同居親の拒否感情がある場合に、手紙や 電話などの間接交流が直接交流に代わる手段としてなされる場合がいまだにあります。しかし、同居親が面会交流に拒否的である場合、こういった代替的な交流 の手段は、脆弱であるが故に、同居親による別居親子の交流への介入を結局は防げず、現実的ではありません。面会交流は「子どものためのもの」と言いなが ら、合意や決定が「なされればいい」という家庭裁判所の成果主義に基づく、斡旋の形骸化があります。不必要に監視付きの面会交流を斡旋し、家庭問題情報セ ンターの人手では月に1回程度でしかまかなえないからと、月に1回の取り決めにすることなど、「子どもの福祉」と何の関係もない「業界の都合」です。
 このような「最小面会」や間接交流の斡旋は困難な当事者どうしの関係をより困難な状況の中に追い込み、むしろ紛争を長期化させています。

3 引き離しによって生じる子どもへの不利益
同 居親の拒否感情によって親と会えたり、その頻度が決まるということであれば、子どもが親の選択の結果生じた不利益を負わされる結果になります。親に会えな い子どもは親の離婚のせいで自身がそういう境遇を背負わされていることを、自覚せざるをえません。周囲もそう見るでしょう。こういった面会交流を限定的に 止めようとする家庭裁判所の斡旋の背景に、前例を今さら変えられないという、当事者の利益とはまったく関係のない業界の権威主義があり、面会交流を子育て として捉えない法曹関係者の皆様の根強い思考があるのは明らかです。別れれば他人なので、同居親の感情に応える立場ではなく、子育てへの関与を求めるしか ない別居親の主張が、あたかも「分をわきまえない」過剰な主張であるかのように捉える裁判所職員は珍しくありません。
容認できません。なぜならば、少子化の中、育児を積極的に担う男性、子育てに喜びを見出す親は肯定的に捉えられており、このような考えや態度は、むしろ斡 旋や合意を困難にし、当事者の利益にならないからです。子育ての視点を取り入れ、家庭裁判所が児童心理や臨床心理の成果に基づく新しいガイドラインを作ら なければ、子どもの権利は確保されえず、当事者のための手続保障も「画に描いた餅」に終わります。

4 現行制度のもとにおける面会交流の促進
一方、同居親の拒否感情がある場合には、依然として心理的な対応によって時間をかけて合意を引き出すという手法が少なくありません。同居親に被害感情はあ るでしょうが、それは別居親にとっても同様です。故に一方の親の感情のみが重視される斡旋の仕方は、双方に著しい不平等感を植え付けます。もちろん、経済 的な申し出によって同居親の側の歓心を得るような斡旋は、子どもを使った人質取引の誘因となります。また、引き離しの長期化による片親疎外の進行によっ て、その後の面会交流がますます困難になります。面会交流は片親疎外を防止するためのものです。手続保障の名のもとに、片親疎外を放置することがあっては ならないのは、DVや虐待(片親疎外も含む)の事例において、被害者の不必要な反論や弁明が回避させられなければならないのと同様です。
特に、子の引き渡し請求に関しては、裁判所職員が出向いての直接強制がなされていることを考えると、何故に面会交流に関してだけ、脆弱な取り決めをなし、 その後の不履行にも毅然とした対応を示さないのかの説明がつきません。方や子どもを先に確保してその後会わさなくていいように家裁が斡旋していながら、そ のアリバイ作りに口先だけで面会交流を言っているようなものです。面会交流の斡旋や決定は、当事者たちのためになされねばなりません。