抗議声明 白馬村子どもの帰宅権裁判・子ども手当不当判決

抗議声明 白馬村子どもの帰宅権裁判・子ども手当不当判決

10月22日、東京高裁の水野邦夫裁判長は、白馬村が住民登録を1年4カ月にわたって 拒否し、子ども手当を支給しなかったことに対し、父親とその息子さん(A君)が損害を訴 えた裁判の控訴を棄却した。不当判決である。私たちはこの判決に強く抗議する。 判決は、父・母間の紛争が続いており、どちらの親に子ども手当すべきか判断できないの で、支給できないとした、白馬村の判断を容認した一審判決を追認した。 元いた家に帰宅し、現在堤さんといっしょに暮らしているA君は、控訴審にこんな意見を 寄せた。

「『母のもとに戻れば権利は保証されるのだから差別はない』というのは、私に『去れ』と 言っているのとどう違うのでしょうか。」 「私は人権の授業で、児童の権利条約を勉強しました。そこには、子どもは、父母の地位に かかわらず、いかなる差別もなしに権利を尊重するとありました。公民の授業では日本国憲 法を勉強しました。14 条には、すべて国民は、法の下に平等であって、社会的身分により、 差別されないとあります。でも、現実は違います。私は、父に親権がないから差別されまし た。

教えて下さい。裁判官が間違っているのですか、条約や法律が間違っているのですか、学 校が嘘を教えているのですか。住んでいるところに住民票がない。これは、不明児童という ことですよね。それとも、住民票のあるところに住まなければいけないのですか?」 A君の問いかけに、裁判官たちはきちんと向き合ったのか。 わずか10秒足らずの判決言い渡しのために、私たちは裁判所に足を向けるわけではない。 行政へのチェック機能を裁判所は果たしていない。間違っているのはA君ではない。「事件 処理」しか頭にない裁判官だ。こういう大人の振る舞いをこれからの子どもたちが真似ない ことを私たちは切望する。

単独親権下で親権争いがおこなわれていても、子どもにとってはともに親であることに変 わらない。子どもが2つの家を自由に行き来できるようになることを私たちは望む。親の紛 争に子どもを巻き込んでも仕方がないというのが、今回の判決である。私たちは巻き込まな いという立場であり、この様な判決を出す裁判所は子どもたちにとって「百害あって一利な し」だ。子どもの帰宅を、親どうしの紛争に発展させたのは白馬村であり、裁判所である。 最高裁への上告を決意した堤さんとA君を、私たちはこれからも支持する。