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□■  kネット・メールニュース  No.325
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「家庭裁判所に法の支配を。日弁連に人権の確立を。」
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このメールニュースは、主に共同親権運動、親子引き離し問題
についての情報を発信するものです。 2017年3月18日
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■今号のトピックス
1 親子新法で何が起きる? クレイマー、クレイマー以前
2 外務省へのダブルスタンダード是正要請

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選ばなくっていい、パパの家、ママの家
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┣☆┫1 親子新法で何が起きる? クレイマー、クレイマー以前
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(1)クレイマー、クレイマーという映画

前々回のニュースでお知らせしましたが、
親子断絶要件緩和法案(親子断絶防止法とも呼ぶそうです)では
法案の2条は、子どもの意思表明の機会の確保が新たに付け加えられています。

条文では、親との関係の維持について
「子にその意思を表明する機会を確保するよう努め」
「子の年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮するとともに・・・」
という文言が入ったことについて触れました。

ところで、これが家事事件手続法にあるから問題ないという
意見については、すでに認識が甘いことを指摘しました。
手続きが用意されているということと、
実際問題、規範として子の意思を考慮しなければならない、
ということは違うんですがどうでしょうか。

クレイマー、クレイマーという映画がありました。

子どもを置いて家を出た母親が、親権裁判を申し立てました。
当時アメリカでは厳格な母性優先の原則があり、
(日本のように実効支配ではありません)
しかも単独親権でした。
(ただし別れていても親子は会えます)

弁護士は実際に子どもを養育していながら、
圧倒的に不利な裁判で父親が勝つために
子どもを裁判所に出廷させ、証言させることを提案しました。

父親は熟考した挙句、
この提案を拒否して子どもを母親に渡すことを決断しました。
もしそうすれば、子どもは父親に有利な証言をするかもしれません。
しかしそれでは、親の争いに子どもを巻き込んでしまう、と考えたからです。

現在用意されている、断絶要件緩和法案では、
クレイマー、クライマーの父親を、
自分に有利な発言をさせようと考えて
子どもを出廷させようか考える同居親、
母親を別居親と考えれば腑に落ちるでしょう。

いずれにしても、日本の実効支配というルールのもと
子どもが自由な発言ができると考えるとしたら
かなりナイーブかつ浅はかです。

こういった点を父親側が指摘して、東京高裁が子どもの意思の聴取を
理由にした地裁の移送決定を差し戻した判例があります。

移送差し戻し「裁判所で証言させることは〝子の意思の尊重〟とは言えない」

ほかならぬ宗像の事例ですが、
会えない子どもに「会いたいかどうか」を「言わせる」ことが
「子の意思の尊重」とは言えないことを裁判所が認めた決定です。

仮に、今回の断絶要件緩和法が成立したら、
こういった裁判所の決定は間違いなくできなくなるでしょう。

アメリカでは
クレイマー、クレイマー以後、
共同養育の法制度が全米に広がりました。
日本では、断絶要件緩和法の成立で、
別居親が獲得してきた判例が覆される事例が発生し、
クレイマー、クレイマー以前に戻っていくことになりかねません。

ところで、家事事件手続法については、子の意思についての
手続き保障についてkネットは反対声明を出しています。

http://kyodosinken.com/2013/01/02/%e5%ae%b6%e4%ba%8b%e4%ba%8b%e4%bb

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(2)子どもの権利条約と比べて

今回の新法ではその1条で、
子と父母との継続的な関係の維持、促進が明記されており、
この点が理念的に評価されるべきところと立法活動に
携わった方はおっしゃるかもしれません。

たしかにその点はあるかもしれませんが、
現状の民法766条でも、面会交流は子の利益であることが
構成上読み取れます。

また、子どもの権利条約の9条3項を規範とするなら、
「父母とのいずれとも人的な関係及び直接の接触」という
子どもの権利のほうが具体的で、
「子どもとの面会及びその他の交流」というように、
間接交流を面会交流とする逃げ道を用意するような
安易すぎる妥協はすべきではありませんでした。

つまり、現状の民法766条と比べて
ほぼ変わらない条文をわざわざ作るために、
断絶要件の緩和条項を名文化するぐらいなら、
断絶要件の規定が明文化されていない
現状のほうがまだましという簡単な足し算引き算の問題です。

(3)連れ去りの啓発について

ところで、立法化を契機に、連れ去り規制の啓発ができるという
意見もあるようです。

正直言って、現在においても、法務大臣が連れ去りについて
よくないといっているようなことについて、
やろうと思えば自分でポスターを作って
766条を根拠に政府に予算をもらって
貼ることも声が大きければできるはずです。

それが現状できていないところを見ると、
立法化されたところで、
そんな啓発活動が実現すると考えるのは客観的に見て
ナイーブすぎるんじゃないでしょうか。

(4)間接強制がかからない?

ところで、早井さんという方が、
3条の解釈についてわりとよく解説しています。

親子断絶防止法は親子断絶促進法!!http://kyodosinken-news.com/?p=8618ちょっと長文になります。Kネットの宗像がメールニュースでこういうことを言っているので、どうせまた自分が中心じゃないから文句言…

早井 真人さんの投稿 2017年3月14日

一方で間接強制がかからなくなることについて、
債権、債務について理解が乏しいと、宗像を批判しています。

実際問題、間接強制について、
子の意思が「会いたくない」というものであっても、
強制執行がかかるようになったのは最近のことです。
また、そういった強制執行への態度は
都市と地方、裁判官の間でも、違いがあるのが実情です。

宗像が言っているのは、
別居親の運動もあって、せっかく確立してきた
裁判所の原則交流の「慣行」が崩れるということを指摘したまでです。

裁判所が強制執行の手続きをとるときに、
断絶新法(めんどくさくてそう呼びます)の規定に引っ張られ
(債務者がまず断絶新法を引用するでしょう)、
間接強制について、温情的な決定をするようになるのは
十分考えられることです。

なぜなら、別居親の運動の敗北によって成立した法案だと
裁判官も足元を見るので、
別居親の主張をなめてかかるのは十分考えられるからです。
(あなたたちも、例外をみとめているではないですか……)

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┣☆┫2 外務省へのダブルスタンダード是正要請
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kネットから外務省あてに要望書を出しました。

要望書 子連れ去り防止へ周知要請のお願い 外務省ハーグ条約室 室長 上田肇様

要望書 子連れ去り防止へ周知要請のお願い
外務省ハーグ条約室 室長 上田肇様

(略)私どもの会には,
日々「子を連れ去られ引き離された親」からの相談が相次いでおります。
その多くは,外国籍の方も含む国境を跨がないものです。

国内で子の連れ去り引き離しを問題視しない裁判所実務の
運用実態が浸透してきたことから,被害は増加の一途を辿っており,
当会担当者への相談内容も自殺を思いとどまらせるような
切迫した内容が多くなってまいりました。
毎月のように被害親が自死をしており,
つい先日もお一人亡くなられたばかりのような悲惨な状況が続いております。

そのような中,一昨日,在京各国大使館員を集められた会合において,
外務省ハーグ条約室 室長上田肇様より
「連れ去りは子どもの精神的負担が大きい。
日本国内にある多言語の相談窓口の活用を促してほしい」
とのご発言がありました。このニュースを見た国内の被害当事者達は,
自分たちの存在を否定されたような更なる無念に陥ることになりました。

・国際的な子の連れ去り引き離しは,子どもの精神的な負担が大きく,
相談窓口があり
・日本国内の子の連れ去りは,子どもの精神的な負担が無く,
相談窓口も無い

こんな道理が有り得ましょうか。
ご発言自体は倫理的なものですが,
それにより国内で子を連れ去られ生き別れにされ,
何ら救済が無く,子の精神が破壊されていく心配に苦しんでいる親達は,
更なる無念が募り,自死が増加する心配があります。

お電話では,弁護士や法務省への相談を促されましたが,
弁護士は一方的に勝つことが保証されている
子の連れ去りを推進することはあっても,対抗する術は持ちません。
法務省の人権擁護に相談しようと,
子の連れ去り手法をもっぱらの生業にしている弁護士が,
法務省人権擁護委員や東京家裁調停員をしているような腐敗した状況です。
話を聞いてメモを残す以上のことはしません。

日本独自の子の連れ去り容認は,
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」
の考えに反するだけでなく,
「児童の権利に関する条約」にも違反するものであり,
国際的に恥ずべき事態です。

つきましては,下記の通り要望いたします。

1. 外務省が各国大使へ「子連れ去り防止へ周知要請」を
したのと同様に法務省へ国内においても同内容の周知要請を伝えていただくこと。
2.    上記伝達の結果を公表いただくこと。

ご検討いただき,ご返答いただきたくお願い申し上げます。

【★現在の読者数 711人】実子誘拐、親子引き離しの違法化を
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難破船が次々に漂着する無人島がありました。
勇気ある漂着者の一人が難破船を組み直し、
陸を目指して船出しよう、と呼びかけ、
いいぞ、いいぞとみんなついて行きました。
苦難の果てにたどり着いた場所は、
もっと小さな無人島だったとさ。(宗像)
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