『離婚後の共同親権・共同監護の法制化を求める意見書』

 現在日本では毎年、親権を行わなければならない子どもがいる夫婦が約17万組(2003年人口動態統計)も離婚しているが、わが国では、離婚後はどちらか一方の親だけが親権者となり、もう一方の親は事実上親としての義務・権利がなくなってしまう単独親権制度を採用している。
 そして、この制度が離婚時に子どもの奪い合いを激化させる原因にもなっている。
 アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、中国など、先進諸国は、全て離婚後の共同親権制度を導入しており、離婚後も両方の親と積極的で頻繁な関わりを維持することが、子どもの最善の利益に適い、これを阻害することは子どもへの心理的虐待であり、基本的人権の侵害であるという考え方を採用している。
 離婚後の単独親権を規定している民法819条は、1947年の制定以来60年を経た今日まで抜本的改正が一度もなされておらず、欧米並に離婚が増加した現代に対応できる規定ではなく、国際的情勢からも非常に立ち遅れたものとなっている。
 現在の調停・審判等の裁判実務において、離婚後、非監護親と子どもとの面接交渉は、ほぼ定着していると言えるが、残念ながら監護親が反対した場合、多くとも月1回程度と極めて限定的にしか認められず、子の福祉に資するには全く貧弱なものであるといわざるを得ない。さらに審判での決定、調停での合意に実質的な強制力がないため、全く無視され、長期に渡って子どもに会えないという事例が多発し、明文化されていないため、弱い権利として簡単に裁判で否定されてしまうケースもある。
 今日、多様な親子や家族のあり方が模索される中で、これ以上子どもが親同士の紛争の犠牲者となることは避けねばならない。離婚は夫婦関係の清算であって、親子関係の断絶ではない。
 よって、国においては、離婚後も親子が安心して継続的な関係を持てるよう、面接交渉の法制化を含め、民法819条及び関係法令の抜本的改正をするように強く要望する。
以上、地方自治法代99条の規定により意見書を提出する。

  平成21年6月 19日

                        
南埼玉郡白岡町議会
                            議長 関根 頌二

内閣総理大臣   麻生 太郎
法務大臣     森  英介
厚生労働大臣   舛添 要一 様
衆議院議長    河野 洋平
参議院議長    江田 五月