2018年6月14日

最高裁判所長官 大谷 直人 様
東京高等裁判所所長 林 道晴 様
東京家庭裁判所所長 大門 匡 様

実子誘拐・片親疎外に関する、裁判所の人権侵害への厳正な対処を求める要望書

共同親権運動ネットワーク

いつも「子どもの福祉」の向上のためにご尽力くださり、ありがとうございます。
私たちは、もっぱら実子誘拐をきっかけに、子どもと引き離された親のグループです。

2009年に当会が結成されてから、私どもは無法な実子誘拐や片親疎外が放置されている実情について、人権侵害行為に対し厳しく裁判所が対処するよう重ねて求めてきました。私たちは、実子誘拐と片親疎外、すなわち単独親権制度の被害者団体です。私どもの知見は裁判所で実務にあたる職員と共有され、裁判所と協力関係を築いていく必要があるとの観点から、貴団体にくり返し要請してきました。

しかしながらこの10年間、裁判所に親たちが親子関係の継続を願って訴えても、わずか55%しか取りきめがなされず、取り決めてもその後の交流が途絶えてしまうことが多いのは、司法統計と各種アンケートでも指摘されています。また、裁判所が片親引き離し行為を放置した取り決めを斡旋することで再び司法に訴え、税金を無駄にしていることは、当事者だけの責めに帰すことはできません。

なぜなら、私どものもとには、そもそも制度の悪用によって、対立状況を作られた別居親に対して、作られた「対立」を理由に、「時期尚早」や「高葛藤」、「十分な信頼関係が築けていない」などとして親子関係を疎外し、間接交流や極度に限定された交流によって実質的な親子関係を断つ裁判官の決定が日常的に寄せられているからです。理由すら付さない決定もあります。間接交流の場合、やがて直接交流に発展した事例は私どもは一例も把握していません。

こういった決定は、その後の親子関係についての研究結果や実情を踏まえず、支援をあえて困難にする無責任な決定です。中には、なるべく穏便にすませようと、法的手続きを取らなかったことをもって、親子関係を疎外する決定を出す裁判官の事例も複数寄せられています。司法を担う者としておよそあってはならない揚げ足取りの事例も寄せられています。

調停委員、調査官は月に1度2時間といった、片親疎外を助長するものでしかない頻度を別居親に促す傾向があります。それが「相場」や「基準」と放言し、「会わせようとしない母親も多いんだから」というセクハラ発言がまかり通っているという報告が、日常的に私たちのもとに各地から寄せられていることに慄然とします。親子の不分離を否定し片親疎外虐待を肯定する、著しく職業倫理の欠如した斡旋です。

また、親子関係を取り戻すための即座の斡旋ではなく、いたずらに時間をかけ、マジックミラー越しに(元)配偶者からの監視をさせるという人権を無視した「試行」面会の手法も改善を見られません。連れ去り時の子どもの意思は問わないのに、「会いたいかどうか」だけを尋問して、あろうことかその子どもの発言を理由に引き離すという、明らかなモラルハザードが生じています。

こういった行為は「相場」と裁判所職員が述べている通り、「子どもの福祉」とは無関係です。法規範ではなく既成事実を肯定するためのおよそあってはならない税金の支出です。その上、裁判所出身者の再雇用のための面会交流機関に資金を流すために、不必要な事例にまで第三者機関の利用を義務付けるなど、もはや官民一体の「引き離しビジネス」としか言いようがありません。

「被害者保護」の主張のみで、最初の連れ去りである違法な実子誘拐行為を裁判所が放置することがさらなる実子誘拐を誘発しています。子の「実効支配」を正当化するために、「継続性の原則」という名の片親疎外という親子双方への虐待行為を裁判所がやめないことがその主因です。その中で、弁護士が主導する虚偽のDVや虐待の訴えが親権取得のために用いられ、この点について4月25日付で名古屋地裁が違法とし、制度の見直しを促した点は、今後の裁判所の実務で無視できません。

こういった別居親を敵視する裁判所の実務の根底には、男性は子育ての主体ではない、女性は保護の対象という、根強い性差別があります。同時に「家」の秩序の埒外に置かれた者との「家族関係」を認めようとしない、戸籍制度に基づいた古い固定観念が裁判所職員には染みついています。そのことが、虐待である片親疎外についての理解の妨げになっています。結局「子どもの福祉」は「裁判所の都合」にほかならず、利用者の裁判所への不信は高まるばかりです。以上指摘して求めます。

一 マジックミラー越しの施行面会は野蛮な人権侵害です。何回も求めていますが即刻やめてください。

一 同居親の敵対感情を和らげるためにいたずらに時間をかけるのではなく、別居親子の関係維持の観点から、強制執行の手段の有無や、会せない場合の親権者の変更手続きについて当事者に明示し、交流断絶の期間が最長でも1カ月以上にならないよう、迅速な斡旋と決定をするようしてください。

一 月に1回2時間が「相場」「基準」と発言し、「(同居親側の)協力が得られないから」と親子関係を断念させるような斡旋をする調査官や調停委員は職務遂行能力がありません。そのような指摘があった場合、調停委員の選任はやめ、調査官は別の仕事を割り当てて下さい。

一 家庭裁判所委員会に、別居親の団体の代表者を任命して下さい。

一 以下の各点を、裁判官ほか、家事事件に携わる調査官ほか全職員に研修を課し、また司法修習、職員の要請において教育してください。

① 親子関係を断つことの言い逃れとして、写真や手紙の送付など、補助的手段としかなりえないコミュニケーションの方法を間接「交流」と言いかえて、面会交流斡旋の代替物する決定はしないこと。

② 引き離しや養育時間の制約を正当化するために、「時期尚早」「対立が強い」などの単なるその場しのぎの説明責任を放棄する理由を付すこと、法的手続きをとらなかったこと、さらに相手の違法性を指摘する法手続きをとったこと、何よりも理由を付さずに交流を制約することといった、法手続きの軽視を利用者に促すような決定文を裁判官が書かないこと。

③ 親子関係を損なう違法行為については厳正に対処し、不用意に親権者や主要な養育者としないよう、基準として重視すること。最初の連れ去りである実子誘拐は、被害者が親権がない場合であっても違法です。また虚偽DV行為、面会交流を妨害する行為も違法です。こういった行為をする者を、「現に子どもを確保しているから」と無条件に親権者や主な養育者とするのは、紛争を永続化させ、親が子どもを諦めるきっかけになり、「子どもの福祉」を損なう危険な行為です。

④ 男性(父親)側のDVや虐待被害については、女性が受ける被害と同様に被害として軽視しないこと。

⑤ 別居親側の暴力が問題とされないのに、調査官調査で子の意思の聞き取りを課す行為は、子どもを争いに巻き込む行為であること。子どもの意思の尊重ではなく、子どもを尋問する虐待行為です。

⑥ 双方に十分な養育時間を斡旋することで協力を促すこと。一方の親が養育への意思を示していながら、月に1回2時間やそれ以下の異常に短い交流頻度を強いることは親子関係の支障でしかありません。

⑦ 「離婚に応じるまで会わせない」、「子どもに会いたかったら慰謝料を払え」、「調停期間中は面会交流はさせない」などの発言を放置せず、犯罪を前提にした斡旋をしないこと。人質取引は明らかな犯罪です。

⑧ 同居親側の敵対感情を「対立が強い」と言いかえて理由とし、第三者機関の利用を義務付けないようにすること。第三者機関の支援者は、別居親の自助グループでの研修を課している団体から優先的に利用するように斡旋して下さい。

実子誘拐・片親疎外に関する、裁判所内の人権侵害への厳しい対処を求める要望書(1)

同様の要請を、千葉家庭裁判所、及び東京・千葉両家庭裁判所の裁判所委員会宛に行いました。