この記事は過去にk-net代表の宗像充が参加した活動に関して、当時宗像が作成、関連団体への転載を許可したコンテンツです。過去の活動記録の一環として収録しています。
8月29日、宗像ほか子どもと離れて暮らす親3名が、谷岡郁子参議院議員の秘書2名とともに、厚生労働省へ申し入れを行ないました。厚生労働省側は川尻恵雇用均等・児童家庭局家庭福祉課指導係長他2名が、対応しました。

私たちは、現在の法制度のもとで、親子の引き離し状況が野放しになり、どれだけ子どもに会うのができなくなっている、また会うのが困難になって いるかの実態を当事者の口から説明しました。また、カナダで離婚した当事者からは、日本とカナダの離婚後の養育の違いを指摘しました。同時に、厚生労働省 側が、ひとり親の子どもに関する悩みとして別れた相手との面会が難しいとなっているのに、何ら支援もせず、その後統計すらとらなくなったことを、厚生労働 省の10年前の調査示して指摘し、厚生労働省のひとり親支援は、ひとり親の側から見てもニーズに応えていないと指摘しました。
特に、離婚後の当事者どうしのやりとりはとても難しいので、支援がなければ、子どもとの関係を維持していくのは困難であること、離婚後 は離れて暮らすことも多いので、広域での支援は厚生労働省が責任をもってやってほしいと伝えました。それは現在の法制度の枠内でもできることであると強調 しました。
厚生労働省側の3人は、これまでこういう視点からの離婚家庭支援について考えたことがなかったというのが実態のようです。児童福祉施設 での現場の体験をした職員もいましたが、子どもに対するソーシャルワークがとても不完全である実態は感じているようです。双方の親とかかわる形での支援の あり方を具体的にどうやって実現していくのかについては、厚生労働省側も指摘されたばかりで、問題が整理できていないということのようです(ただ海外の事 例については調べているようです)。

話し合い後、4人で厚生労働省前でネットのリーフレットを配りました。
私たちは、これをきっかけに、離婚家庭支援の新しい枠組みを作っていけるように、引き続き働きかけていきたいと思います。

2008年8月29日
舛添要一厚生労働大臣様
離婚後の親子の面会交流への支援を求める要望
親子の面会交流を実現する全国ネットワーク
国立市中3-11-6スペースF内
TEL042-573-4010
代表 宗像 充

私たちは別居、離婚後、自分の子どもと会えなくなっている、または会うのが困難になっている親たちのグループです。現在、離婚後の共同親権、面会交流の法制化を求めて活動しています。

厚生労働省の離婚家庭への支援は、ひとり親家庭への経済的な扶助、あるいは養育費の徴収の制度化という形で進められてきましたが、双方の親に子を養育する権 利があり、また同時に、子にとっても双方の親から養育を受ける権利があることを考えると、極めて一面的な支援のあり方です。


別居、離婚後、親子の 交流を維持することについては、子どもの権利条約9条で「締約国は、子どもの最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児 童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」とあるように、国際的には広く認められています。またアメリカ諸州で は、両親が別居、離婚しても、子どもは両親と頻繁かつ継続的な接触を持つことが「子どもの最善の利益」であるという考えのもとに、法整備や親子の面会のガ イドラインが整えられてきました。離婚しても子どもの養育に両親がかかわるのが一般的なあり方です。

しかし、別居、離婚後の親子の面会交流は、 親どうしの反目や対立があれば、行政や第三者による支援がなければ著しく困難です。また、個々のケースに応じてきめ細かな支援が必要なはずですが、日本で は、別居、離婚後の親子の面会交流を支援するための施策も予算措置も皆無です。その結果、多くの別居、離婚後の親子が引き離されたままの状態で放置されて います。別居、離婚後の親子の面会交流についてなぜそれが重要なのかの啓発活動すら行われていません。この問題は、引き離された親子それぞれに深刻なダ メージを与え、子どもの成長においてさまざまな障害が生じうる点では、人権問題です。

今年3月には、国立市議会から、6月には小金井市議会から「離婚後の親子の面接交渉の法制化と支援を求める意見書」が厚生労働省他、関係7機関に提出されております。
厚生労働省におかれましても、離婚後の親子の豊かな交流ができるよう、早急に必要な支援を行なっていただくようにお願いします。

要望事項
1. 別居、離婚後の親子の面会交流を担当する部署を決め、相談窓口を設置して下さい。

2. 別居、離婚後の親子の面会交流仲介事業を行なっている団体を当事者に紹介し、情報提供を行なうなど、面会交流への行政支援を行なってください。

3. ひとり親家庭、親が離婚した子ども、子どもと暮らしていない親、それぞれに対して、親子の面会交流についての実態調査を行なってください。

4. 児童福祉にかかる施設を親子の面会交流の場として提供、運営してください。

5. 離婚家庭への支援として、親子の面会交流についての啓発活動を行なってください。