2008年から私たちが活動してきた結果、離婚を契機に子どもに会えなくなった親が多くいる実態が徐々に知られてきました。2009年4月現在、大阪府議会や兵庫県議会ほか、18ヶ所の自治体から法制化を求める意見書が国に提出されています。
海外でも別居親の活動が単独親権・単独養育から共同親権・共同養育に移行することを促してきました。
現在日本政府は、欧米主要国から国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約に加盟するように再三要求されています。この条約は、国際離婚における子の奪取事件について扱うものですが、むしろ日本国内における連れ去りと面会拒否が容認される実態が、国際的に批判されていると考えるべきです。
また、日本国内においては母子家庭の貧困率は諸外国に比べてきわめて高く、養育費の徴収率も20%を切っていることが知られています。
これらの背景には、たとえ双方の親が離婚後も子どもの養育にかかわりたいと思ったとしても、離婚と同時に親権を一方の親から剥奪し、子どもの養育にかかわることを保障しない単独親権制度があります。日本はひとり親を大量に生み出す制度を社会的にも法的にも維持し続けています。親権もなく、法的な位置づけが不明確なまま、養育放棄の親に対し、倫理観だけによる養育責任を問うことも難しいでしょう。
この点について解決することなく、国際的な批判に答えることも、国内の多くの矛盾を解消させることも不可能です。
もちろん、離婚後の子どもの養育に両方の親がかかわることは、法的な裏づけがあれば大きく促進されることは間違いありません。そのためには現行の単独親権制度を、共同養育が可能な共同親権制度に転換することは大前提です。児童虐待やDVなど、家族にかかわる法律は「誰が親を見るべきか」という親権についての根本的な議論を置き去りにして、パッチワーク的に整備され、現場での混乱をもたらしています。
これからの子どもの養育のあり方について共同親権制度を議論することは、親権制度の抜本的な改革が不可欠であり、そのために立法府が主導する議論の広がりを私たちは期待しています。