翌9日、弁護士で中央大学教員の棚瀬孝雄さんに
「連れ去り禁止の法制化」についてあらためてお話いただきました。
40人が参加し、活発な議論がされました。
棚瀬さんは「連れ去り」について
「他方の親の同意を得ない、監護権を侵害する(面会交流権の侵害も含む)居所の移動」
と国際的な定義をあらためて強調しました。
棚瀬さんは今年もアメリカに行って、カリフォルニア州を中心に
裁判所関係者などに聞き取りをし、実際公開の裁判も見てきたそうです。
現地では基本フィフティ・フィフティの共同養育が原則です。
監護法では共同養育と友好親の監護権の原則が実態規定としてあります。
アメリカでも離婚に先立って別居になることが珍しくありませんが、
離婚手続においては、暫定監護命令が出され、
申し立てて2週間で結論が出ます。
DVの際に警察が呼ばれると、その場で裁判所に電話をして
24時間対応で命令が出され、加害者が排除されます。
その後、保護命令申し立ては2週間以内になされます。
一方、DVのときにも面会交流が同時に決められ、
一体的な処理がなされます。
アメリカでは刑法で連れ去りが禁止されています。
年間2万5千件の誘拐のうち、親によるものが8割。
そのうち1割が逮捕に至るそうです。
警察に通報すると、居所を突き止め、子どもの安否確認をします。
そこで戻すように説得し、応じなければ連れ去られた側に単独監護権が与えられます。
DVの際には例外になりますが、
例外規定も厳格に明示されており、独立の証明を必要としています。
「日本の調停は時代に合わなくなって制度疲労を起こしている」
アメリカでは、子どもの奪取に専門チームが組まれています。
アメリカでは親どうしは原則同席で調停し、
裁判官は「その話は聞かない」と親を制止することがあります。
子どもが親と関係を維持するには法の力しかないと棚瀬さんは強調しました。