国際的な子の奪取の民事面に関する条約
(1980年10月25日採択、1983年12月1日発行)日本は未批准

国際的な子の奪取について定めた条約。日本は早期批准を求められている。

この条約の署名国は、子の利益が子の監護権に関するすべての事項において極めて重要であることを深く自覚し、子を不法な連れ去り又は留置により生ずる有害な効果から国際的に保護すること並びに子が常居所を有する国に子を迅速に変換することを保証するため及び面接権の保護を確保するための手続きを創設することを希望し、このため条約を締結することを決定して、次のとおり協定した。

第1章 条約の適用範囲
第1条 
この条約は、次に掲げることを目的とする。
a)不法にいずれかの締約国に連れ去られ、又は不法にいずれかの締約国に留置された子の迅速な返還を確保すること。
b)ある締約国の法律に基づく監護権及び面接権が他の締約国において効力あるものとして尊重されるようにすること。

第4条
この条約は、監護権又は面接権が侵害される直前に締約国に常居所を有していた子のすべてについて適用する。この条約は、子が満16歳に達したときは、適用しない。

第12条 
1 子が第3条に規定する不法な連れ去り又は留置に会い、かつ、子の存在する締約国の司法当局又は行政当局に事件が係属した時において不法な連れ去り又は留置の日から1年が経過していない場合には、当該司法当局又は行政当局は、直ちに子を返還するように命じなければならない。
2 司法当局又は行政当局は、前項に規定する1年が経過した後に事件が係属した場合においても、子が新しい環境になじんだことが証明されない限り、子の返還を命じなければならない。
3 受託国の司法当局又は行政当局は、子が他国に連れ出されたと信じるのに理由がある場合には、子の返還の申立て手続きを中止し、又はその申立てを却下することができる。

第13条
1 前条の規定にかかわらず、受託国の司法当局又は行政当局は、子の返還を拒んでいる個人、施設その他の機関が次に掲げる事項の1を証明したときは、子の返還を命じることを要しない。
a)子の身上の世話をしていた個人、施設その他の機関が、連れ去り若しくは留置の時に現実に監護権を行使していなかったこと、連れ去り若しくは留置を同意していたこと又はその後承諾したこと。
b)子の返還が子を肉体的に又は精神的な危険にさらし、その他子を耐え難い状態に置くこととなる重大な危険があること。
2 司法当局又は行政当局は、子が返還を拒み、かつ、その意見を考慮に入れるのが適当である年齢及び能力に子が達していると認めた場合には、子の返還を命ずるのを拒むことができる。
3 司法当局又は行政当局は、本条に規定する状況を評価するに当たり、子の常居所の中央当局その他の権限当局が提供した子の社会的背景に関する情報を考慮に入れなければならない。