Q どうして法改正が必要なのですか?
A
民法には離婚後の子の養育についての明確な規定がありません。
お互い話し合いが難しくなって離婚するのですから、法律上の規定がなければ離婚が親子の別れに直結するのは当たり前です。
特に民法の単独親権の規定は、
どちらかの親が面会を拒否する理由にしたり、逆に子どもの養育を放棄する根拠に使われています。
子捨てを促し、「ひとり親」を制度的に量産する今の日本で「シングルマザー」の虐待が社会問題化するのは当たり前です。
離婚してもしていなくても子どもが両方の親から養育を受けるためには現在の法制度を存続させていることこそが問題です。
Q 別れた後も子どもに会いたいなんてワガママじゃないんですか?
A
子どもに会いたいと思っても、相手方に会わせるかどうかは子どもを手元で見ている親(同居親)の意向次第です。
たしかに、離婚は親にとっては選択でも、子どもにとっては親の都合にしか見えないかもしれません。
離婚時に詳細な取り決めを結び、関係を解消した相手と将来も引き続き親としての役割を果たしていくということが明確になれば、親は離婚自体を冷静にとらえ返すことになるでしょう。
双方の親と十分な関係が築け、離婚の事実をきちんと子どもに説明することは必要ですが、そもそも、親どうしの関係と親子の関係は別なのです。
離婚して会いにこなくなる親が多い中で、困難があっても子どもの養育にかかわりたい親はワガママでしょうか。
「親であるからこそ子に会えない」なんて変だと思いませんか。
Q そうまでして離婚後の親子交流を維持する必要はあるのですか?
A
アメリカでは1970年代にウォラーシュタインの実証研究の中で、離婚した60家族の子どもへの継続調査を行い、両親が離婚した後の子どもと両親との頻繁かつ継続的な接触の重要性、特に父親とよい関係を継続することが子どもの精神的な健康にとって決定的に重要であることを指摘しました。
このことが理論的な根拠になり、アメリカでは80年代に各州で共同親権・共同養育の法制化が実現していきました。
その後、同様の論拠から欧米各国では共同親権の法整備が進みました。
ドイツでは単独親権制度を強制する法規定は違憲とされました。
韓国でも法改正で離婚後の共同親権が可能となっています。
離婚は子どもにとっては「自分が立っている地面が揺れる」ほどの大事件だと言います。
親がお互いの問題で子どもへの配慮が難しくなる離婚の渦中にこそ法や第三者の手助けで、子どもと双方の親との十分な接触を維持するべきです。
Q どのくらいが面会交流の時間として適切と考えていますか?
A
離婚と同時に面会交流の権利が生じるわけではありません。
財産は分けられますが、子どもは分けられません。
だから養育の時間を分けるのです。
海外では養育時間を半々にすることもあります。
家裁で決められるように、1ヶ月に1回2時間なんて頻度で子育てがそもそもできるでしょうか。
子どもの年齢や地域生活への配慮は必要ですが、家裁の取り決めのような交流時間では子どもだって、面会交流を楽しんだり親と話し合ったりできなくなります。
海外では隔週宿泊付き、長期休暇は折半というのが「相当な面会交流」として一般的で、日数にすれば100日ですが、日本では365日分の24時間、100分の1です。
「犬の散歩」のような面会交流を家裁が強制し、かえって事態を混乱させています。
Q 共同親権運動ネットワークは父親だけの団体ですか?
A
いいえ、子どもに会えなくなるのは父親だけではありません。
母親のメンバーもいますし、祖父母や家族の人、同居親や離婚を経験した子どもなども自由に会の活動に参加しています。
父親への面会交流に社会や裁判所が消極的な理由は、そもそも父親の育児など無理だという先入観があります。
しかしメンバーは婚姻中から積極的に育児にかかわってきた人が多いですし、だからこそ子どもに会えないことがはつらいのです。
一方、離婚後にも父親に育児を担って欲しい母親も現行制度では一人で子育てをすることを強いられます。
まして子どもといっしょに暮らしていない母親は、「こどもを捨てたダメな母親」としか見られません。
育児にかかわってこなかった父親でも、離婚を契機にきちんと取り決めた上で育児をさせればいいのです。
離婚前後にかかわらず、こういった社会の偏見や子育てのあり方を変えることも私たちの目的です。
Q 法制化のためにどういう活動をしていますか?
A
法律家も政治家も裁判所も、家族援助の現場の人たちも離婚後の共同養育についての知識がありません。
だから「会えなくってもしかたない」としか考えられないのです。
離婚にいきなり直面した人も、他に手段がないと思えば、諦めてしまいます。
結局、子どもが親から捨てられるということになってしまいます。
私たちは、多くの別居親の相談を受け、それを援助していく中で知識を共有して経験を蓄積し、実態に基づいた法や制度の改革提言をしています。
地方議会や自治体に働きかけて行政施策に組み込むこともしています。
共同養育が可能だということが広まっていけば、離婚家庭支援のあり方も大きく変わっていくでしょう。
Q DVや虐待の場合はどうするのですか。
A
被害者の安全の確保はなされなければなりません。
共同親権の国では、子どもに会いに来ない親のほうが問題とされるため加害者であっても、制約が課された上で、安全な場所で監視のもとに面会交流が段階的に進められていきます。
児童相談所や子ども家庭支援センターが法制化と平行してこういった役割を果たしていくべきでしょう。
DVは犯罪なので第一義的には刑罰での対処が必要ですし、他の犯罪と同様、厳密な証拠調べも必要です。
また、親の暴力を見た子どもへのケアも含め、取り決めの際に、親や子どもにカウンセリングを実施することも今後必要になってくるでしょう。
共同養育について、アメリカなどでは離婚時に親教育プログラムなどが盛んに実施されます。
シングルマザーの虐待が話題になっている昨今、離婚後の子育てを孤立化させないためにも、共同養育をベースにした援助のあり方は模索されるべきです。
Q 家庭裁判所に行けば会わせてもらえるんじゃないですか
A
いいえ、家庭裁判所に面会交流を申し立てても認められるのは半分です。
そのうち半分は月に1回より少ない回数しか子どもと会えなくなります。
幸運な25%の親だけが月に1回以上の面会ができるようになります。
(しかも1回につき2時間が家庭裁判所の「相場」です)
家庭裁判所には調停申し立ての手続きはありますが、結局、同居親側が拒否し続ければ、強制力がないため面会が実現しないのです。
また、家裁に共同養育の知識や専門性があるわけではありません。
親子の交流は慰謝料を引き出すための取引の手段と考えている弁護士も多いのです。
むしろ家裁に解決を委ねたためにそれまでできていた親子交流ができなくなることもあります。
家裁に申し立てるのが適切かどうか、私たちは相談も受け付けています。
Q 子どもが会いたくないと言っても会わせるのですか
A
子どもが親に会いたくないと言い出すこと事態がそもそもおかしいのです。
同居親が子どもを会わせたくない場合、「子どもが会いたくない」と言い出すのは当たり前のことです。
それを理由に面会を絶つのであれば、子どもに親を捨てさせることになります。
一方、親どうしの対立が深まり子どもへの配慮ができなくなっているとき、親どうしの関係の調整をする人も、子どもの気持ちを聞く人もどこにもいません。
面会交流が子どもへの負担になればその後の親子関係にも影響が出ます。
私たちは子どもの意見を聞きながら、中立の立場で親どうしの関係の調整をする、面会交流の支援事業も行っています。
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