2015年10月1日、
東京地裁立川支部民事3部
(渡邉左千夫、小松芳、佐藤丈宜裁判官)は
宗像充さん(国立市在住、40歳)が本人訴訟で
訴えていた裁判において、
2013年に宗像さんの娘さんとの面会交流を妨害した、
元妻とその夫に対し20万円
(交通費、弁護士費用合わせて合計22万4200円)
の慰謝料の支払いを命じました。
この裁判では、宗像さんの娘さん(現在9歳)を養子縁組した
養父の交流妨害の不法性を問うていましたが、
裁判所は、宗像さんの元妻で親権者の母親だけでなく、
親権者となった養父も連帯して慰謝料を払うように命じています。
単独親権制度の日本では、
親の再婚による連れ子養子縁組が、
親権のない親の同意なくなされ、
しかもその後の親子関係が断絶されることについて、
民法学者の批判をかねてから受けていました。
今回の判決では、
過去の養子縁組行為の不法性は退けましたが、
養父となったからには、親子関係を保障する義務を法的に負う、
ということを裁判所が認めたことは、
今後の再婚養子縁組による親子断絶の抑止という面では
大きな意義があります。
形式的な家族の形ではなく、
「実質的な親子関係が子どもの福祉」を判示したわけです。
また、実質2回の面会不履行について賠償額は20万円ですから
これまでの相場感覚からして、
交流妨害自体へのペナルティーとして軽いとは言えません。
受け渡し場所が正確に決まっていない場合でも、
交流妨害の不法性が認められています。
なお、養子縁組の不法性以外にも
宗像さんが訴えていた相手方の過去の裁判の欠席行為の
損害賠償は認められませんでしたが、
いずれも、現在9歳になる娘さんと宗像さんの
交流がかろうじて現在復活していることから退けられており、
交流妨害の程度が大きければ、
それらの行為も損害賠償の対象となりうることを示唆しています。
また、同様に宗像さんが訴えた、元妻らによる、
元妻の連れ子(12歳)と宗像さんとの
交流妨害についての損害賠償は
審判決定の文言を理由に認められませんでした。
なお、被告側弁護士は石川英夫、石川さやか両弁護士です。