親子断絶防止法kネット声明レイアウト

2017年2月28日

親子断絶防止法案に関するkネット声明

共同親権運動ネットワーク

私たちは共同親権・共同養育を目指す親のグループだ。
私たちの会は、子どもとの交流が困難になっている
親たちで専ら構成されているが、
現在国会への上程が目指されている親子断絶防止法案について、
私たちは現行の法案(2016年12月13日に修文のもの)の
国会上程に同意できない。理由は以下である。

1 分離の原因を除去することなしに、
親子の交流を図るだけでは断絶被害は防げない

本法案で問題としている親子断絶は、
親どうしの親権の奪い合いに基づき生じるものである。
単独親権は「親権がないから」と、
別居親への親としての資格はく奪を正当化するものとして機能してきた。
仮に単独親権であっても、
双方の親の子育てへの関与が保障されていれば
「断絶」を「防止」することもない。

ところが、本法案は強制力のない親子交流保障(共同養育保障ではない)を
理念的に定めることによって、断絶そのものを正当化する機能を果たしている。
よって断絶の原因となる実子誘拐の合法化が立法によって
促される構造となっている。
「会わせさえすれば連れ去っていい」ことになる。

分離を作り出しておいて「交流促進」のための啓発や
交流支援団体のための予算化をすることは税金の無駄であり、
納税者としてもこのような法案は納得しがたい。

単独親権においては、離婚という親の問題に子を巻き込むことを防げない。
また代諾養子縁組においては、再婚養子縁組によって、
結婚制度を親子分離の手法として悪用することも防げない。
親の問題に子を巻き込まないためには、
親どうしの関係と親子の関係の分離が必要であり、
そのためには共同親権が欠かせない。

本法案はそれを目指すという点では迂遠すぎ、
現状では単独親権制度に起因する、現行の法の悪用を防げないだけでなく、
それを正当化する。

2 法案は子に親を捨てさせ、子どもの権利を侵害する

法案は法の悪用を防げないだけならともかく、それを促す面がある。

法案は2条2項において、子の年齢、成長に応じて、
子の意思を表明する機会を保障することを促す。
常識的に考えて、親に会えない状況を強いられておいて、
成長した子が無邪気に「パパ(ママ)に会いたい」と表明することを
想定しているとしたら、
そもそも子の成長など大人は認めていないということではないか。

また同時に、子どもが「会いたくない」と言ったことを理由に、
「あなたが会いたくないと言ったから会わせなかった」と親が言うとしたら、
そもそも子どもに意見を表明させること自体が、
親の責任の放棄であり虐待である。

弁護士たちは、子どもが「会いたくない」という
状況をつくる手口を巧妙化させる。要するに法案は虐待を促進している。

そもそも子どもの意見表明権とは、
子どもの欲求表明(会いたい、会いたくない、言いたくない……)について、
それを受け止める側の大人の義務であるはずだ。
自由な欲求表明を行える環境を作ることが、
子どもの意見表明の前提である。
子どもにとって両方の親のいる場所双方が家であり、
帰宅させないでおいて、帰宅したいかどうかの欲求表明を強いる
(誘拐犯が拉致被害者をいたぶる様を想像せよ)
ことのむごさを大人は自覚するべきだ。

実子誘拐を放置し、「分離」が正当化された法案では、
子の意思の表明は、会えない親を捨てるかどうかを子に強いることにつながる。
このような条文を付け加えることは子どもの権利保障ではなく、
子どもの権利侵害だ。断じて容認できない。

3 法案はDVでっち上げ、虐待でっちあげを促し分離親子を増やす

法案は、DV防止法、児童虐待防止法の趣旨を尊重することを規定し、
DV、虐待の場合には、親子断絶を正当化することを規定する。

ところで、実子誘拐が放置された現状では、
子どもの奪い合いの手法として、DVでっち上げ(被害者は男性)、
児童虐待でっち上げ(もっぱら被害者は女性)が横行している。
私たちの会にはそのような被害者の相談を多く受けている。
現状、でっち上げであっても
DV防止法、児童虐待防止法の支援措置による住所非開示措置が
適用されることが問われることはない。

その上異議申し立て手続きもなく、
でっち上げが立証されても解除の手続きすらないため、
このような支援措置が、親子分離の手法として濫用されているのを
見ることができる。
DV防止法は女性差別を立法の契機として理念に掲げているので、
加害者は男性に限定されるという、
男性・女性ともに加害者となる現状からはかい離した法運用がなされている。

このような現状のもとで親子断絶防止の例外措置を立法化すれば、
法で保護される例外措置を求めて、
親子分離を目的とするでっち上げが横行する事態になるのは、
火を見るより明らかだ。

男性のみを加害者とする法運用、
関係修復・家族再構築を最初から想定しない支援の現場、
そして虚偽申立てに対するペナルティーの強化が立法化されない中、
2条3項、及び9条の規定は、親子断絶をむしろ拡大する結果になる。

このような規定はそもそも法の目的とそぐわず私たちは反対だ。
仮に本法案の立法化を目指すなら、
むしろDV防止法、児童虐待防止法の関連部分について、
虚偽申立てへのペナルティーの強化、手続き保障の観点からの改正を
法案に規定すべきである。

私たちは別居親団体であるが、本法案についての策定にはタッチしていない。
理由は親子断絶防止法についての全国連絡会が、
意思決定についてのkネットとの約束を無視し、
kネットの質問に答えなかったため、
責任ある立法活動に参画することができなかったためである。
この度のkネットの意見は、
外部の一団体による客観的な評価と意見表明である。