2017年6月30日

神戸新聞 代表取締役社長 高士 薫 様
神戸新聞社阪神総局 編集主任 中部 剛様、執筆竜門和諒様

共同親権運動ネットワーク

お世話になります。
6月5日付で中部様名義の「ご回答」をいただき、ありがとうございました。
私どもの質問においても、伊丹市の事件について他紙の報道と取り違えた
部分があり、不正確な部分があり失礼しました。
この間、本事件の報道に関して神戸新聞と同様に質問した
複数のメディアのうち、回答がありましたのは神戸新聞だけでした。
問題に向きあおうとする貴紙の姿勢の真摯さに敬意を表します。

私どもが指摘した各論点については、記事を執筆した竜門記者ほか、
貴紙に引き続き考えていただき客観報道をしていただきたいというのが
私どもの願いです。

この事件は、父親が我が子を殺し自殺するという面で
たいへん痛ましいできごとであり、
同時に、母親が我が子を殺す行為が殺人として許されないのと同様、
正当化されるべきことではありません。
しかしながら、メディアは、同様の事件が繰り返されないように、
「母子心中」の場合は、その母が我が子を殺すに至る社会的な背景を
探ろうとしますが、この事件に見る一連の報道を見る限り、
「父子心中」の場合は、そのような努力は軽視されているように伺えます。

私たちは、日々家庭裁判所の画一的な決定に不満を持ち、
裁判所や元配偶者に対して「許せない」という感情を持つ親たちに
日々接しています。
会えない、というのは言うに及ばず、
毎日子どもの面倒を見ていたのに、「月に一度しか」会えない
裁判所での取り決めに、親たちがどのように絶望し悔しがり、
再び会えなくなるのではないかと恐怖心にさいなまれる心情を、
皆様方は想像したことがございますでしょうか。
「遠目からしか愛息子に会えない苦悩の一端は、承知しているつもりです」
という言葉で、語りつくせるようなものとはとても私たちは思えません。

にもかかわらず、母親側が月に1度という家庭裁判所の相場に疑問を感じず、
弁護士や周囲の支援者がその決定を何の疑問も持たずに、
その頻度を父親側に強制すれば
(月に30日は子と引き離せという決定を親に強いるのです)、
過去暴力的な側面があってもなくても、同様の状況に置かれた父親のうち、
一定の割合で自暴自棄になる親が出てくるというのは、
不思議でも何でもありません。
私どもは単独親権制度の被害者団体です。
毎年会に寄せられる父親の自殺の報を聞いてきたそれが私どもの実感です。

故に、海外では十分な養育時間を双方の親が分け合うことが可能となり、
離婚時に子の奪い合いがあったとしても、
一定のルールのもとで合意を得られるように、
子どものいる夫婦の場合、日本のような協議離婚は不可能となっています。
私どもから見れば、月に1度などという裁判所の基準を維持して、
母子の安全を図ろうとしたところで、父親の安全はまったく図るすべがなく、
長谷川弁護士が、その点どのように考えて解説しておられるのか、
まったくうかがい知れません。
今回貴紙が私どもの質問に回答したのは、
よもや、子どもと引き離された父親はいくら死んでもかまわない、
と貴紙が考えておられるわけではないからだと思っております。

残念なことながら、貴紙の報道はじめ、
この間、伊丹市の事件について報道した記事について、
裁判所で子どもの養育を引き続き担いたいと述べた別居親が、
複数の新聞記事や雑誌記事を引き合いに出され、
会せれば伊丹市のような事件が繰り返されるのではないかと
同居親側の弁護士に主張されるという情報が複数寄せられています。
参考までに裁判所に提出された書証を資料として同封いたします。

今回の事件は、子どもと触れ合うという当たり前の欲求を持つ親たちを、
危険な父親(なぜか母親は想定されていないようですが)
としてネガティブキャンペーンを張ろうとする弁護士たちの、
都合のよい道具として活用されています。
貴紙はそれを願って報道されたのではないと思います。
その点踏まえて、単独親権制度の闇を明らかにする報道を今後期待しています。