また、関係機関に働きかける場合、要望書や質問状を提出することがあります。
過去出された声明・要望書・質問状については以下をご参考にしてください。
■ 過去出された声明・要望書・質問状(一例)
ハーグ条約の批准に関して国内法での「原則交流」の実現を求める声明
2009年10月19日
共同親権運動ネットワーク
共同代表 植野 史、宗像 充
10月16日、アメリカをはじめとする8カ国の大使が千葉景子法相に面会し国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約批准(ハーグ条約)を要請した。欧米諸国から20年以上遅れてやっと政府は国際的な子どもの奪取問題解決に向けて重い腰を上げはじめたようだ。
私たちは、ハーグ条約批准と、離婚後の親子関係において国際的に格差のない国内状況を実現することはセットであり、ハーグ条約の批准と国内における「原則(面会)交流」を政府が実現することが急務であることを強調する。
今までに条約批准が先送りされていた背景には、「子どもを連れて実家に戻る」日本の習慣、公権力の民事不介入の政府の姿勢があった。それらはハーグ条約の目的である親子の居住地への返還と継続的な面会交流の実現を阻む大きな壁となっており、同時に日本からの外国人親による子どもの連れ去り防止を不可能にしている。つまり、国際離婚の場合に国と国との取り決めとして実行しなければならないことが、日本国内では実現できていないという大きな矛盾の中で条約批准に向かっていることになる。
国際離婚の中にもハーグ条約の対象にならない日本在住ケースが多くあり、外国人・日本人の違いを問わずに親の離別後の「原則交流」が保証されなければ、今後の条約批准後に矛盾や混乱が多発することが予想される。
ハーグ条約批准に向けての国際圧力の高まりは、福岡で日本国籍を持つアメリカ人父親が子どもを取り戻そうとして逮捕された事件がアメリカで大きく報道されたことがきっかけとなっている。この事件の背後には、子どもに会えない多くのアメリカ人父親たちの苦闘がある。彼のような実力行使をしなければ、我が子の姿を見ることさえできない親たちの存在は紛れもない事実で、日本人でもそれは同じだ。
親の離別後に子どもに会えないわが国の現状は世界的に異常である。ハーグ批准をしていないイスラム諸国においても面会交流は常識であるし、政府が協力して批准国への連れ戻しが実現したケースもある。
条約があってもなくても親子が会うのは当たり前という人間としての常識が日本にはなく、「子どもの権利条約」を批准していながら主旨は顧みられず実現の努力もされていない。欧米各国では離婚後の共同親権・共同子育てが行われている国も多く、単独親権制度で面会が保証されていない日本はそれらの国に比べて100年も遅れているといわれている。
ハーグ条約の主旨は逃げ帰った日本人親子を強制送還して逮捕させることではない。子どもと双方の親との安定した交流を保証することにあり、そのことの周知徹底が望まれる。そして現在のような明らかな国際的な「格差」状況は、海外で離婚裁判する場合に日本への子連れ帰国が認められない理由となっている。
私たちは、日本政府が速やかに離婚・離別後の親子関係における「原則交流」の確立のために共同親権に向けた法改正や公的支援を実行し、ハーグ条約批准と同時に親の離別後の親子の面会に格差のない国内状況を実現するよう強く要望する。
千葉景子 法務大臣 様
2009年9月24日
共同親権運動ネットワーク
東京都国立市中3-11-6スペースF内
共同代表 植野 史、宗像 充
この度、長く民法関係の法整備に尽力されてこられた千葉景子さんが、その担当大臣が就任されるにおいて、私たち別居親は親の離別後の共同親権が可能となる 法整備を求めます。特に親による子の連れ去りや面会拒否の問題の解決と、親の離別後の共同子育てを政府が促進することを求めます。
日本は民法 819条に代表される単独親権制度をいまだ採用しており、親権のない親は子どもに会う法的な保障すら現実には得られないのが実態です。離婚後の子の監護に ついては民法766条によって裁判所で取り決められますが、条文が抽象的で裁判所の裁量の幅が広すぎ、裁判所も「子どもの福祉」について統一的な見解がな く、現時点では親どうしの葛藤が高い場合、面会交流に消極的です。他方、子の側から見ると、離婚後の夫婦だけでなく、事実婚夫婦ほかさまざまな境遇から生 まれる婚外子についても、単独親権制度のもと親の責任について法は未整備であり、その結果、子どもの権利条約に規定された、子どもが親を知る権利や別居親 との交流の権利は日本では絵に描いた餅にすぎません。
母子家庭の貧困を挙げるまでもなく、離婚はいまだ「落伍」であり、それは子どもとの交流を絶たれる親にとっても、子どもにとっても同様です。
男女共同参画があらゆる場面で唱えられ、男性の育児への参加が曲りなりにも進んだ現在、育児を行ってきた親ほど、親どうしの離別と同時に子どもの成長にか かわれなくなる事態は、納得しようにもしようがありません。親の離別前後にかかわりなく、養育は「養育費」という経済面だけでなく、子どもの成長にかかわ り、子育てをするという実質においても可能とならなければ、男女共同参画は一面的であるとのそしりを免れません。再婚家庭も増えている中、子の親は誰なの かという点について不問にしたまま、単独親権制度に基づいたままの発想で、児童扶養手当を考えたり、子ども手当てを充当することも不十分だと思います。親 の離別後も双方の親が子どもの成長にかかわる権利と責任があるという視点から離婚家庭支援は総合的に考えられるべきです。
特に親どうしの子どもの 奪い合い紛争が事件となっている現在、その原因になっている単独親権制度以外の選択肢がないという現行民法には合理的な理由がありません。子どもの連れ去 りや面会拒否を容認する現在の法制度は改められなければなりません。そして男女共同参画を親の離別後も促進するために、共同子育てを可能にするための法整 備を私たちは求めています。
要望事項
民法を改正し、意味のある面会交流を保障し、親どうしの関係の平等性に基づく共同親権に向けた法整備を行うための政府内部の議論を早急に始めてください。そして、別居親子の権利を法的に保障し、親の離別後の共同子育てを可能にしてください。
2009年9月4日
共同親権運動ネットワーク
共同代表 植野 史、宗像 充
8月30日、衆議院選挙の結果政権交代が実現することとなり、「国民の生活が第一。」を掲げてきた民主党ほか自民党政権下の野党が政権政党となることが予定されている。
私たち別居親は、この選挙の行方を注視し、候補者アンケートを実施することによって親権問題、及び親の離別に伴う面会交流への周知を候補者に図ってきた。
各党のマニフェストの中で、民法上の規定について公明党、共産党、社民党が別姓の実現、300日問題について触れたものの、親権・面会交流の実現について触れた政党はなかった。政権政党となった民主党は、過去政策集で別姓問題について触れたものの、今回のマニフェストには載っていない。
こういった一連の民法上の規定は、親の選択や生き方が子の不利益や差別に直結するという点で極めて問題の多い規定である。私たちが実施した候補者アンケートにおいても、過半数の候補者がこの問題に沈黙を守った。
私たちは家族生活上の人権問題に対して、一部の議員や政党を除いて、新しく国政を担う人たちが積極的な姿勢を示さないことに懸念を表明する。同時に、戦後ほとんど変わることのなかった民法が、家制度に強く規定された価値観を持つ政治家に支えられてきたことを指摘した上で、今回世代交代とともに多くの政治家が国会に登場したことに注視する。
民法上の規定の中でも、単独親権制度とそれに伴い、一方の親が子育てに関係できなくなる事態は、憲法24条の「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選択、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」という規定に明らかに反する差別である。同時に、親権が一方の親から剥奪されることにより、「親権争い」と呼ばれるように、親の離別時における子どもの奪い合いが加熱させられ、親による子の連れ去りや面会拒否が助長させられる。親子関係そのものを法が阻害しているのである。
その上、子育てへの男性参加も進み、子どもと引き離されることへの抵抗は格段に強くなっている。子から引き離されることによる精神上の打撃は、引き離された親のその後の日常生活、社会生活に甚大な影響を与える。
子が親から引き離されることもまた、親の離別という事件を乗り越えるにおいて、子の心理に資することがないし、その後の子どもの成長にも影を落とすことが実証されている。正当な理由のない親子の引き離しは、差別であるとともに子への虐待である。
にもかかわらず、親どうしの縁切りが、親子の縁切りに直結するという慣行は根強く、「別れた親に会わないほうが子どもは落ち着く」とまで言われることもあった。単独親権制度という法制度が無理に家族のあり方を規定し、親権争いや子どもの面会にからむ事件だけでなく、多くの社会問題の遠因にもなっている。
毎年25万組の夫婦が離婚する中、未成年の子どもの3、4人に一人が親の離婚を経験している。しかしこういった親子への物心両面の支援は、主に母子家庭というひとり親への経済的支援という形でしか考えられてこなかった。
政権政党となった民主党も、マニフェストで生活保護の母子加算の復活と児童扶養手当を父子家庭にも支給することを掲げてきた。もちろんこういった政策は推進すべきことであるが、いずれにしても、別居親の存在は無視されたままである。
単独親権制度のもと、親の離別後の子の養育はもっぱらひとり親が担うことしか考えられず、養育費の徴収についても制度が強化されたものの、別居親側が養育費を払ったとしても扶養控除の対象にすらならない現状である。
ひとり親家庭の貧困と子の養育も、親の離別後の子育てについて、双方の親が子にかかわるということを選択肢として可能にし、総合的に考えるべきであり、そのためには単独親権制度の是正が必須である。
「政治とは生活である」のかもしれないが、人権が保障されてこそ人らしい生活が保障される。そして、「親権のない親に人権」は十分に保障されない。親と引き離された子も、親から愛情を受ける権利を保障されていない。
養育とは「養育費」という経済の問題だけではなく、子育ての喜びを享受することであり、また人としてのつながりを子が親から感じようとする営みそのものである。
人権、憲法、子育て、男女平等そして社会保障、すべての領域にまたがる民法上の大きな課題である単独親権制度について、新しく立法府に足を踏み入れた議員、そして政権の内外にいるにかかわらず、すべての政党が関心を示し、問題の抜本的な解決に向けて足を踏み出すことを私たちは期待する。
そして仕切りなおされた国会で、親の離別後の共同子育てが可能ように、共同親権制度が実現するための法制度を早急に整備することを強く要望する。
2009年8月25日
東京家庭裁判所所長様
東京家庭裁判所の職員のみなさま
〒186-0004
東京都国立市中3-11-6スペースF内
共同親権運動ネットワーク(kネット)
T・F 042-573-4010
共同代表 植野 史、宗像 充
私たちは離婚・離別にともない、子どもと会えなくなっている親のグループです。
昨年より、共同親権・共同子育てが可能な法整備を求めて立法府に働きかけてきたほか、意味のある面会交流(面接交渉)が実現するように、東京周辺の家庭裁判所を訪問し、たびたび家庭裁判所の運用の改善を求めてきました。
しかし、私たちが指摘してきた諸点について、実務面で家裁が別居親子の人権に配慮した改善を目に見える形で行ってきたという報告は、私たち当事者団体には寄せられていません。
そこで私たちは、家裁の運用面での改善に向け、家裁がどのような意向を持ち、どのような問題を抱えているのかを調査するための公開質問状を全国の家裁の所長向けに提出します。同時に、このような質問が行われていることを周知するために、あて先には家裁の職員も含めるほか、当会のHPおよびブログで質問状の内容を公表します。
また、各家裁からの回答もHPおよびブログで公開するほか、回答のなかった家裁についても、「回答なし」と表示して結果を公表します。
別居親子の人権救済に向けて、人権救済機関である家裁の主導的な役割を期待するとともに、誠意ある回答をお待ちしています。
回答は、9月30日までに郵便にてお寄せください。
質問1 家裁での面会交流の取り決めとその違反について、「強制力がない」ため調停や審判においても、家裁が合意に向けて積極的な役割を果たしてくれないという意見があります。一方、履行勧告や間接強制、慰謝料請求などの手段が「強制力」として機能するという意見があります。貴裁判所は、面会交流の取り決めとその違反について、「強制力」が実際にあると思いますか。
質問2 裁判所の職員の中に親の離別後の子育てについて「子どもの福祉」についての統一的な見解がないため、家裁でさまざまな理由で面会交流が制約されるという意見があります。他方、裁判所のホームページでは、家裁のプレイルームについて触れた文章の中で、面会交流について肯定的な見解が述べられています。貴裁判所は、「原則的に親の離別後も意味のある面会交流をすることが『子どもの福祉』にかなう」という意見について、どう思いますか。
質問3 家裁のプレイルームで行われる「試行面接」について、親子関係を家裁が試すという点で「試行面接」という名称の使用をやめてほしいという意見があります。また、マジックミラー越しに同居親が別居親子の様子を伺うことについて、別居親には強い抵抗があり、人権侵害であるという批判があります。貴裁判所は、「試行面接」という名称の使用、および家裁で行われる面会交流のあり方について、改善の意思がありますか。また改善の意思のある場合、どのようなやり方を考えていますか。
質問4 家裁は一度目の親による子の連れ去りについては不問とみなし、他方2度目の子の連れ去りについては問題視するため、調停の期間中、トラブルを恐れて面会交流はしないという慣行が家裁にはあるという意見があります。そのことが現状維持を肯定し、監護者指定の判断を公平なものにしていないという批判もあります。他方、親どうしの葛藤の高まり、親の離別にともなう子の負担を考えると、調停中も面会交流がなされるべきだし、親による子の連れ去りについては、家裁がそれを肯定すべきではないという意見があります。このような意見について貴裁判所はどのように考えますか。
質問5 面会交流については、調停の期間が長引けば別居親子の関係に悪影響があり、子への負担が大きくなるため、なるべくその期間を短くすべきという意見があります。この点について、貴裁判所はどのように考えますか。また別居親子の引き離しの期間を短くするための運用の改善をする意思がありますか。その場合、どのような取り組みがありますか。
質問6 面会交流を円滑に実施するため、最高裁の作った面会交流についてのDVDを家裁では用いていますが、その活用の仕方は恣意的であるという意見があります。今後、面会交流を円滑に実施するためにDVDの活用ほか、別居・離婚に望むカップルにどのような親教育をすることを考えていますか。また、それが可能になるために、家裁職員にどのような研修を現在し、今後する予定ですか。
質問7 離婚や面会交流の調停の申し立てに対し、監護親が調停に出席しないため調停が実施できなかったり、あるいは、調査官調査について調査官が監護親の側の調査しかしなかったり、その調査のあり方も監護親の聞き取りのみしかしなかったり、家裁の運用が監護親を優先し、公平ではないという批判があります。このような意見について貴裁判所はどのように考えますか。また、そのような批判に対して、今後研修等何らかの取り組みをする用意がありますか。
質問8 「開かれて身近な」家裁を実現するために、今後、別居親当事者の意見を貴裁判所の運用面で生かす意向はありますか。また、もしその意向があるなら、どのような方法を考えていますか。
福島瑞穂 男女共同参画・少子化担当大臣 様
2009年9月24日
共同親権運動ネットワーク
東京都国立市中3-11-6スペースF内
共同代表 植野 史、宗像 充
この度、長く男女共同参画・少子化の問題に取り組んでこられた福島瑞穂さんが、その担当大臣が就任されるにおいて、私たち別居親は親による子の連れ去りや面会拒否の問題の解決と、親の離別後の共同子育てを政府が促進することを求めます。
年24万人の子どもの親が離婚し、1日657人の子どもが親の離婚にあっています。このうち多くの親子が親の離別をきっかけに、親子関係を絶たれています。
昨年より私たちは、親子関係の断絶が、親子双方に深刻なダメージを与えている現状を社会に知らしめてきました。毎年10万組を優に超える親子が引き離 され、親子関係の実態を保てないことは、すでに社会問題であるにもかかわらず、社会からも政治からも放置されてきました。
日本は離婚後に子ども の親権をどちらかに決める単独親権制度をいまだ採用しており、親権のない親は子どもに会う法的な保障すら現実には得られないのが実態です。他方、子の側か ら見ると、離婚後の夫婦だけでなく、事実婚夫婦ほかさまざまな境遇から生まれる婚外子についても、親の責任について法は未整備であり、その結果、子どもの 権利条約に規定された、子どもが親を知る権利や別居親との交流の権利は日本では絵に描いた餅にすぎません。
母子家庭の貧困を挙げるまでもなく、離婚はいまだ「落伍」であり、それは子どもとの交流を絶たれる親にとっても、子どもにとっても同様です。
男女共同参画があらゆる場面で唱えられ、男性の育児への参加が曲りなりにも進んだ現在、育児を行ってきた親ほど、親どうしの離別と同時に子どもの成長にか かわれなくなる事態は、納得しようにもしようがありません。
親の離別前後にかかわりなく、養育は「養育費」という経済面だけでなく、子どもの成長にかかわ り、子育てをするという実質においても可能とならなければ、男女共同参画は一面的であるとのそしりを免れません。
再婚家庭も増えている中、子の親は誰なの かという点について不問にしたまま、単独親権制度に基づいたままの発想で、児童扶養手当を考えたり、子ども手当てを充当することも不十分だと思います。親 の離別後も双方の親が子どもの成長にかかわる権利と責任があるという視点から離婚家庭支援は総合的に考えられるべきです。
それは法整備をするというだけでなく、別居親子の人権を擁護し、難しい親どうしの関係を調整しつつ、共同子育てを親の離別後も維持し促進するための第三者支援のあり方を、政府も真剣に考えることを意味するはずです。
要望事項
親の離別後の共同子育てを促進するために、共同親権に向けた法整備をし、第三者による仲介など適切な行政支援を行うための議論を早急に開始してください。そして、離婚家庭支援のあり方を男女共同参画の視点から見直してください。