ハーグ条約は国家間の子どもの奪取事件について
即時返還の手続きを定めた条約です。
他方、子どもの奪取事件がなぜ起こるかといえば、
離婚すれば子どもと会う保障が法的に整備されていないことが
国際的に大きな問題となってきたからです。
この根本原因は離婚後にどちらかの親にのみ育児負担を課すのが
子どもの利益になるという、都市伝説に基づいた単独親権制度であり、
この制度を改変することなく条約に加盟することは、
国内においても、国際的にも混乱を増す結果になります。
たとえば、アメリカ人は日本に連れ去れれても返還されますが
日本国内で子どもを連れ去られたアメリカ人やそして私たちのような
日本人は、条約の加盟によっては連れ去りも面会拒否も継続します。
この共同通信の記事は、国内の連れ去りについて言及した点で画期的です。
たとえは悪いですが、アメリカ人の利益は守っても
(もちろん国内で国際離婚したのアメリカ人の利益も守られません)、
日本人の利益を守らない条約は日米和親条約のようなものです。
問題が国籍に関係なく生じているのが問題です。
私たちは、単独親権制度を維持したままの、ハーグ条約加盟に反対です。

外務省、および法務省はそして日本政府は
現行の国内法で子の連れ去りや面会拒否に対処できるという意向を変えていません。
子捨てを促す裁判所に行けば、子どもと会えるなどというありえない「現実」
に立脚して国家戦略を立てようとしています。
このような小手先の「政治判断」が国際的な信用回復
(いまだに国際的な信用があると思っていること自体が茶番です)
につながるなどということはありえません。
また、このような官僚のことなかれ主義を養護して
子捨てを促す単独親権制度のもと、シングルマザーの虐待を
離婚と子どもについての社会問題として位置づけられない
マスコミも弁護士や市民団体も問題の所在を明示した上、
根本的な議論をすべきです。
日本政府は、まず親権・子の養育についての民法の抜本改正の意向を示し
ロードマップを提示した上で、ハーグ条約加盟をするのが、
仮に国際的な信用の回復が目的なら、理に叶うと、私たちは考えます。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100814k0000e010010000c.html
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010081401000188.html

ハーグ条約:政府が加盟方針 親権トラブル対処で法整備へ

 政府は14日、国際結婚が破綻(はたん)した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」を来年にも批准する方針を固めた。離婚後も子どもが元にいた国の司法制度に基づいて面会交流、子どもの引き渡しの可否などを判断できるよう国内の手続き法を整える方向だ。国際結婚、離婚の増加で子どもの親権をめぐるトラブルが後を絶たず、日本は欧米各国から早期加盟を求められていた。

 政府筋が明らかにした。長期間この問題を放置すれば、日本の国際的な信頼低下につながりかねないとの判断だ。ただ、国内法整備には時間がかかる見通しで、具体的な時期までは定まっていない。

 ハーグ条約は、国際離婚した夫婦の一方が無断で自国に連れ帰った子どもを元の国に戻す手続きやルールを規定。子どもの迅速な返還や、面会交流(面接交渉)の権利保護の手続きを整備するよう加盟各国に求めている。

 日本は離婚後、片方の親が親権者となる単独親権制度を取っており、親による子どもの「連れ去り」が事実上容認され、夫婦が別れた後の親子の交流に関する規定も整備されていない。市民団体などは欧米各国と同じように共同親権を認める民法改正を求めているが、今回は見送る方針だ。

 今年2月には当時の鳩山由紀夫首相が前向きに検討する考えを表明。昨年12月には外務省がこの問題をめぐる「子の親権問題担当室」を設置した。

 ハーグ条約は欧米を中心に80カ国以上が調印しており、主要国(G8)首脳会議のメンバーで日本とロシアだけが未加盟となっている。

2010年8月14日20:22 植野史 :

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100814k0000e010010000c.html
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010081401000188.html