繰り返される連れ戻し逮捕についてのkネット声明
「問題は国内の法と制度と慣習だ」
2011年2月4日
共同親権運動ネットワーク
福岡県警粕屋署は1月27日、離婚係争中の夫から4歳の娘を
連れ戻そうとしたとして未成年者略取未遂の疑いで、
母親と祖母の2人を逮捕した、という報道がなされている。
粕屋署によると、夫と妻は別居しており、親権は未確定。
夫が長女を育てていたという。
報道(共同通信配信)によると、
「2人の逮捕容疑は、昨年12月20日午後5時20分ごろ、
福岡県宇美町の長女が通っている幼稚園の駐車場で、
長女を乗用車に押し込み連れ去ろうとした疑い」なのだという。
共同親権運動ネットワークは、警察発表そのままの実名報道が、
これまで同様、子どもの奪い合い紛争において
無批判に踏襲されていることに懸念を表明する。報道は続く。
「居合わせた幼稚園の先生らが止め、長女にけがはなかった。
夫が同日、粕屋署に被害届を出していた」
母親が子どもを車に乗せるのに、「わざわざけがはなかった」
と書くこと自体の不自然さを、記事を書いた報道機関の人たちは
気づかなかったのだろうか。
一度子どもと離れてしまえば、法も警察もそしてマスコミも、
ドブに落ちた犬を棒でつつくように、
引き離された親に非難の目を向ける。
それは父親であろうが母親であろうが変わらないことを、
この事件は明らかにしている。たとえ親権者であっても、
一度子どもと離れれば親子の交流のための法的保障もなく、
司法もむしろそれを妨害することを私たちは知っている。
私たちはこの1ヶ月間に2件、同居中の調停・裁判中に
妻に子どもを連れ去られたという相談を受けた。
子どものためを考え、話し合いや法の判定に委ねようと考えた親たちが、
逆に子どもを連れ去られ、取り戻そうとすれば逮捕されるというのが、
日本の現状である。こんな状態を放置し続けるべきでない。
現在、国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約の締結をめぐって
さまざまな議論が交わされている。
その反対の理由の中に、「離婚や家族に対する考え方や法制度が異なる」
というものがある。
ハーグ条約は、国際的な子の奪取事件のルールを定めたものだが、
条約の締結が関係各国に要請されるのは、一度子どもと離れれば、
会う会わせないを同居親が決める、という現在のルールの不当性を
各国が知ったからである。
国内においても、子どもを確保しさえすれば親権を得られ、
嫌な相手に会わせなくてもいいという現実が、離婚当事者に限らず、
社会的に知られるようになった中で、今回の「逮捕劇」が起きた。
福岡のできごとは、毎日のように繰り返される「食うか食われるか」の、
ジャングル状態の中で生じる無数のできごとの一つにすぎない。
問題は国際条約の締結ではない。子どもの親はワンセット、
離婚すれば欠損家族で「ひとり親」、
親が再婚すれば別居親は邪魔者とされる現実は、
子どもに親を捨てさせて平気な大人を作ってきた。
福岡の案件でも、当の子どもは記者も含めてだれとでも会えるのに、
自分の母親とだけはいまだに会えない。
こんな中での「子どもはみんなで育てる」という社会的養護の
かけ声は皮肉にすら聞こえる。倒錯状況をそのままにしているのは、
国内の法と制度と慣習であり、変えるべきはルール不在のこの国の現実だ。
私たちは、母親と子どもとの一日も早い再会を願い、
また同時に、警察も司法もそのために努力することを求める。
起訴して刑を科せば問題が解決するということではない。
著しく不公正であり私たちは反対する。
繰り返される連れ戻し逮捕についてのkネット声明 「問題は国内の法と制度と慣習だ」
繰り返される連れ戻し逮捕についてのkネット声明
「問題は国内の法と制度と慣習だ」
2011年2月4日
共同親権運動ネットワーク
福岡県警粕屋署は1月27日、離婚係争中の夫から4歳の娘を
連れ戻そうとしたとして未成年者略取未遂の疑いで、
母親と祖母の2人を逮捕した、という報道がなされている。
粕屋署によると、夫と妻は別居しており、親権は未確定。
夫が長女を育てていたという。
報道(共同通信配信)によると、
「2人の逮捕容疑は、昨年12月20日午後5時20分ごろ、
福岡県宇美町の長女が通っている幼稚園の駐車場で、
長女を乗用車に押し込み連れ去ろうとした疑い」なのだという。
共同親権運動ネットワークは、警察発表そのままの実名報道が、
これまで同様、子どもの奪い合い紛争において
無批判に踏襲されていることに懸念を表明する。報道は続く。
「居合わせた幼稚園の先生らが止め、長女にけがはなかった。
夫が同日、粕屋署に被害届を出していた」
母親が子どもを車に乗せるのに、「わざわざけがはなかった」
と書くこと自体の不自然さを、記事を書いた報道機関の人たちは
気づかなかったのだろうか。
一度子どもと離れてしまえば、法も警察もそしてマスコミも、
ドブに落ちた犬を棒でつつくように、
引き離された親に非難の目を向ける。
それは父親であろうが母親であろうが変わらないことを、
この事件は明らかにしている。たとえ親権者であっても、
一度子どもと離れれば親子の交流のための法的保障もなく、
司法もむしろそれを妨害することを私たちは知っている。
私たちはこの1ヶ月間に2件、同居中の調停・裁判中に
妻に子どもを連れ去られたという相談を受けた。
子どものためを考え、話し合いや法の判定に委ねようと考えた親たちが、
逆に子どもを連れ去られ、取り戻そうとすれば逮捕されるというのが、
日本の現状である。こんな状態を放置し続けるべきでない。
現在、国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約の締結をめぐって
さまざまな議論が交わされている。
その反対の理由の中に、「離婚や家族に対する考え方や法制度が異なる」
というものがある。
ハーグ条約は、国際的な子の奪取事件のルールを定めたものだが、
条約の締結が関係各国に要請されるのは、一度子どもと離れれば、
会う会わせないを同居親が決める、という現在のルールの不当性を
各国が知ったからである。
国内においても、子どもを確保しさえすれば親権を得られ、
嫌な相手に会わせなくてもいいという現実が、離婚当事者に限らず、
社会的に知られるようになった中で、今回の「逮捕劇」が起きた。
福岡のできごとは、毎日のように繰り返される「食うか食われるか」の、
ジャングル状態の中で生じる無数のできごとの一つにすぎない。
問題は国際条約の締結ではない。子どもの親はワンセット、
離婚すれば欠損家族で「ひとり親」、
親が再婚すれば別居親は邪魔者とされる現実は、
子どもに親を捨てさせて平気な大人を作ってきた。
福岡の案件でも、当の子どもは記者も含めてだれとでも会えるのに、
自分の母親とだけはいまだに会えない。
こんな中での「子どもはみんなで育てる」という社会的養護の
かけ声は皮肉にすら聞こえる。倒錯状況をそのままにしているのは、
国内の法と制度と慣習であり、変えるべきはルール不在のこの国の現実だ。
私たちは、母親と子どもとの一日も早い再会を願い、
また同時に、警察も司法もそのために努力することを求める。
起訴して刑を科せば問題が解決するということではない。
著しく不公正であり私たちは反対する。