2017年6月2日
質問状
毎日新聞 代表取締役社長 丸山昌宏 様
5月22日配信記事「<面会交流>別居の父、4歳娘殺し自殺 離婚の妻の胸の内」
担当矢澤秀範、中川聡子様ほかご担当責任者 様
共同親権運動ネットワーク
日夜の報道ありがとうございます。私たちの会は子どもと引き離された親のグループで2017年5月22日にネットに配信された貴社の記事「<面会交流>別居の父、4歳娘殺し自殺 離婚の妻の胸の内」について、貴社は被害者の母親へのインタビューをもとに記事を構成しております。私どもの会は、別居や離婚時の違法な実子誘拐とその後の片親引き離し行為の解決に取り組む被害者団体です。同時に、暴力防止の活動に取り組んでいます。この事件では母親側が被害者遺族であることはもちろんですが、容疑者とされる男性は、加害者とされるとともに自殺しており、解説・識者コメントの付した今回の記事の取り上げ方については一面的な部分があるので、ご提案とともに以下質問させていただきます。
1 記事では「近年の家裁実務では「面会交流は子の福祉になる」という考え方が浸透し、子への虐待が立証されるなどの特別な事情がない限り、面会交流は認められる。同居親が取り決めに従わない場合、間接強制(罰金支払い)の対象となることもある。」と解説されています。これは親子引き離しの被害者団体である私どもが把握している事実とは違います。児童虐待の事実のあるなしにかかわらず、実子誘拐後の引き離しにおいては、同居親側の拒否感情の強さは、依然今日においても家庭裁判所が親子を引き離す際の重要な考慮点となっているものと、私どもは現状を認識しております。実際、記事においても、月1回の面会に対して父親が頻度を上げるように求めたものの、審判では月1回と制約されていることが報じられています。また、取り決め後に間接強制がかけられても、同居親側が請求異議の申し立てによって交流が実現しない事例が報告されています。誤報と見受けられますが、毎日新聞はこの点の実態把握をどのように行いましたか。
2 記事においては、母の苦悩を焦点に記事が構成されています。母親も「現状を把握していれば」母親の側が対策が取れたのではともコメントしています。しかし、子どもにとって父母双方の家がともに自分の家庭であり、それぞれ別個の家庭です。たまたま子どもを共有していたとしても別の家庭で起きた事件の社会的責任を被害者の遺族が負うこともできません。そもそも父親に会せたことは事件のきっかけであって、会せなければ事件が防げたかも疑問です。そういった視点の欠落した検証記事は、被害者遺族の苦悩を余計深めると思いますが、その点毎日新聞はどのように考えますか。
3 4月23日の事件では、月に1回の取り決めの決定後の最初の面会で、父親が子どもを殺したと伝えられています。父親はもっと頻繁に娘と会うことを望んでいたと言います。自ら離婚を言いだした側であっても、親権を失い代償として年12回しか子と会う機会が得られず、自身の父親としての尊厳を否定されたように感じた父親が絶望して事件を起こしたことも十分ありえます。家庭裁判所の手続きを経た面会交流は画一的であり、家裁を経ない場合でも「月に一度」という面会交流基準が流通しているため、それ以上の面会交流を母親側が進めることには抵抗感があり、母親側に支援者・弁護士がいたとしてもそれは同様です。現在の裁判実務では親子が親子であるという人権が保障されていないのです。だとすると事件は、双方の親が子の成長に関わることを否定する根拠となる、単独親権に起因するとも解釈できます。貴紙はこの点についてどのようにお考えですか。
4 記事では「感情の起伏も激しく、夜通しの説教や家具を壊すといった暴力が続き」ということですが、確かに私どもの会に相談に来る父親も、妻から刃物を突き付けられ、一晩中寝ずに妻から説教を受けた経験を語る方は珍しくありません。このような状況で私たちは家裁を経てもなかなか子どもと会えない状況が改善できない人が少なくありません。このような行為をする側が子どもの監護を継続し、親権を得て子どもを引き離す状況について、貴紙は事件を教訓に、どのような解決策があるとお考えですか。
5 記事では母親が事件後に、「父親の心に不調があったことや、会社に行ってなかったことなど」を知ったとのことです。父親の側は我が子を殺すまでの心理状態に追いつめられていたわけですが、たしかに、私どものような民間の別居親側や男性の支援者とつながる機会は男性の側には限られています。家庭裁判所も、家裁委員会に女性対象のDVの被害者支援の民間団体の関係者を選任することはあっても、男性や別居親支援の民間団体を招くことはなく、その他の協力関係も拒んでいます。父親の側の心理状態が明らかになり、面会施設の利用が低額になっても、男性や別居親に対する情報や支援が不足している現状が改善されなければ、別居親の管理を強めたところで、同様の被害を今後防止することは難しいと考えますが、貴紙はこの点について、本事件からどのような教訓を得ましたか。
6 記事では「面会交流を積極的に進めてきた米国では、裁判所が監護権や面会交流権を認めた親が子を殺害する事件が09年6月以降の7年間で475件報道されている。」とのことです。共同養育や、養育時間を親どうしが分け合うことが流通しているアメリカでは、双方の親と子どもと接する時間が長く、したがって親による子殺しの割合もそれに応じて分配されることが考えられますが、これは、監護権や面会交流権を進めたことが主要な原因なのでしょうか。それで親子関係を制約すべきかどうかを論じることは、銀行に行ったら銀行強盗に会ったため、銀行の営業そのものを規制する議論をするようなものです。その点についての毎日新聞としてはどのように考えますか。
7 識者の棚村政行さんのコメントでは、「『面会交流実施が当たり前』という風潮そのものがその原因になった可能性もある。」とのことですが、「月に1回」という頻度が「当たり前」かどうかに共通見解がなかったことが仮に事件の原因であるとするなら、むしろ、親子関係を制約することで昨今の風潮を押しとどめようとすればするほど、今後同様の事件が頻発することも考えられます。この点について、毎日新聞はどのように考えますか。
この質問状は公開のものです。6月16日までに上記住所まで書面にてご回答下さい。
毎日新聞質問
毎日新聞への質問状
2017年6月2日
質問状
毎日新聞 代表取締役社長 丸山昌宏 様
5月22日配信記事「<面会交流>別居の父、4歳娘殺し自殺 離婚の妻の胸の内」
担当矢澤秀範、中川聡子様ほかご担当責任者 様
共同親権運動ネットワーク
日夜の報道ありがとうございます。私たちの会は子どもと引き離された親のグループで2017年5月22日にネットに配信された貴社の記事「<面会交流>別居の父、4歳娘殺し自殺 離婚の妻の胸の内」について、貴社は被害者の母親へのインタビューをもとに記事を構成しております。私どもの会は、別居や離婚時の違法な実子誘拐とその後の片親引き離し行為の解決に取り組む被害者団体です。同時に、暴力防止の活動に取り組んでいます。この事件では母親側が被害者遺族であることはもちろんですが、容疑者とされる男性は、加害者とされるとともに自殺しており、解説・識者コメントの付した今回の記事の取り上げ方については一面的な部分があるので、ご提案とともに以下質問させていただきます。
1 記事では「近年の家裁実務では「面会交流は子の福祉になる」という考え方が浸透し、子への虐待が立証されるなどの特別な事情がない限り、面会交流は認められる。同居親が取り決めに従わない場合、間接強制(罰金支払い)の対象となることもある。」と解説されています。これは親子引き離しの被害者団体である私どもが把握している事実とは違います。児童虐待の事実のあるなしにかかわらず、実子誘拐後の引き離しにおいては、同居親側の拒否感情の強さは、依然今日においても家庭裁判所が親子を引き離す際の重要な考慮点となっているものと、私どもは現状を認識しております。実際、記事においても、月1回の面会に対して父親が頻度を上げるように求めたものの、審判では月1回と制約されていることが報じられています。また、取り決め後に間接強制がかけられても、同居親側が請求異議の申し立てによって交流が実現しない事例が報告されています。誤報と見受けられますが、毎日新聞はこの点の実態把握をどのように行いましたか。
2 記事においては、母の苦悩を焦点に記事が構成されています。母親も「現状を把握していれば」母親の側が対策が取れたのではともコメントしています。しかし、子どもにとって父母双方の家がともに自分の家庭であり、それぞれ別個の家庭です。たまたま子どもを共有していたとしても別の家庭で起きた事件の社会的責任を被害者の遺族が負うこともできません。そもそも父親に会せたことは事件のきっかけであって、会せなければ事件が防げたかも疑問です。そういった視点の欠落した検証記事は、被害者遺族の苦悩を余計深めると思いますが、その点毎日新聞はどのように考えますか。
3 4月23日の事件では、月に1回の取り決めの決定後の最初の面会で、父親が子どもを殺したと伝えられています。父親はもっと頻繁に娘と会うことを望んでいたと言います。自ら離婚を言いだした側であっても、親権を失い代償として年12回しか子と会う機会が得られず、自身の父親としての尊厳を否定されたように感じた父親が絶望して事件を起こしたことも十分ありえます。家庭裁判所の手続きを経た面会交流は画一的であり、家裁を経ない場合でも「月に一度」という面会交流基準が流通しているため、それ以上の面会交流を母親側が進めることには抵抗感があり、母親側に支援者・弁護士がいたとしてもそれは同様です。現在の裁判実務では親子が親子であるという人権が保障されていないのです。だとすると事件は、双方の親が子の成長に関わることを否定する根拠となる、単独親権に起因するとも解釈できます。貴紙はこの点についてどのようにお考えですか。
4 記事では「感情の起伏も激しく、夜通しの説教や家具を壊すといった暴力が続き」ということですが、確かに私どもの会に相談に来る父親も、妻から刃物を突き付けられ、一晩中寝ずに妻から説教を受けた経験を語る方は珍しくありません。このような状況で私たちは家裁を経てもなかなか子どもと会えない状況が改善できない人が少なくありません。このような行為をする側が子どもの監護を継続し、親権を得て子どもを引き離す状況について、貴紙は事件を教訓に、どのような解決策があるとお考えですか。
5 記事では母親が事件後に、「父親の心に不調があったことや、会社に行ってなかったことなど」を知ったとのことです。父親の側は我が子を殺すまでの心理状態に追いつめられていたわけですが、たしかに、私どものような民間の別居親側や男性の支援者とつながる機会は男性の側には限られています。家庭裁判所も、家裁委員会に女性対象のDVの被害者支援の民間団体の関係者を選任することはあっても、男性や別居親支援の民間団体を招くことはなく、その他の協力関係も拒んでいます。父親の側の心理状態が明らかになり、面会施設の利用が低額になっても、男性や別居親に対する情報や支援が不足している現状が改善されなければ、別居親の管理を強めたところで、同様の被害を今後防止することは難しいと考えますが、貴紙はこの点について、本事件からどのような教訓を得ましたか。
6 記事では「面会交流を積極的に進めてきた米国では、裁判所が監護権や面会交流権を認めた親が子を殺害する事件が09年6月以降の7年間で475件報道されている。」とのことです。共同養育や、養育時間を親どうしが分け合うことが流通しているアメリカでは、双方の親と子どもと接する時間が長く、したがって親による子殺しの割合もそれに応じて分配されることが考えられますが、これは、監護権や面会交流権を進めたことが主要な原因なのでしょうか。それで親子関係を制約すべきかどうかを論じることは、銀行に行ったら銀行強盗に会ったため、銀行の営業そのものを規制する議論をするようなものです。その点についての毎日新聞としてはどのように考えますか。
7 識者の棚村政行さんのコメントでは、「『面会交流実施が当たり前』という風潮そのものがその原因になった可能性もある。」とのことですが、「月に1回」という頻度が「当たり前」かどうかに共通見解がなかったことが仮に事件の原因であるとするなら、むしろ、親子関係を制約することで昨今の風潮を押しとどめようとすればするほど、今後同様の事件が頻発することも考えられます。この点について、毎日新聞はどのように考えますか。
この質問状は公開のものです。6月16日までに上記住所まで書面にてご回答下さい。
毎日新聞質問