2017年11月10日
長野県下伊那郡大鹿村大河原2208
TEL 0265-39-2116
共同親権運動ネットワーク

 

私たちは離婚によって子どもと引き離された親のグループです。

今回の民事執行法の改正によって、子の引き渡しに関して強制執行のルール化がなされています。以下「第3 子の引き渡しの強制執行に関する規律の明確化」に関する当会の意見を述べます。

私たちの会には、家庭裁判所の決定に基づき、子の引き渡しに関して子どもを引き渡さざるをえなくなった父親からの相談を受けることが度々あります。引き渡しのケースで見る限り、その後引き渡した後の親子関係が順調に推移しているケースを見ることはまれであり、多く子と引き離されることになっています。

子の奪い合いの背景には、共同での監護を認めず、監護権のない親の側の子どもへの関与が極めて限定されていることから、子の引き渡し、という本来子どものための手続きが、親子断絶という子どものためにならない結果を引き起こすことを防止できていない実態があります。

したがって私たちは、以下のような各点も民事執行法の改正において、同時に実現した上で、子どもを引き渡す際の強制執行のルールを定めること求めます。実子誘拐が放置された現状での、子の引き渡しにおける無条件な強制執行の強化は、親子断絶という更なる悲劇を促進しかねず反対です。

1 他方の親の同意のない子の連れ去り(実子誘拐=いわゆる「最初の連れ去り」)の加害者が、民事執行法による子の引き渡し手続きを利用して強制執行し、子どもを占有する行為を規制する条文を設けること。

子の監護・居所指定権を犯された監護権者が子どもに対し監護・居所指定権を行使しようとする場合は、自力救済を避け、裁判手続きによるのが本来です。しかし、実質的に離婚・親権獲得の手段として実子誘拐が野放しの状況で横行しており、実子誘拐の被害者が裁判手続きを利用して監護・居所指定権を確保する道は事実上閉ざされています。そのような状態で、実子誘拐(最初の連れ去り)の加害者が自身の違法行為にもかかわらず、親が子どもを本来の元の家に戻したからといって、自身の監護権を強化するために子の引き渡し手続きを濫用することを許すことは、法の公平さを著しく欠きます。今回の一面的な法改正ではさらなる実子誘拐を誘発しかねません。そのような場合には、最終的な子の監護権が定められるまで交替居住に同意し、子を占有した場合(つまり親子断絶を実行した場合や面会交流を著しく制約した場合)は親権を放棄するなど、事前に裁判所に誓約書の提出を義務づけることが必要であり、条文に盛りこむことができます。

2 面会交流の強制執行についても、民事執行法の条文を適用すること。

子の奪い合い事件が起きる背景には、面会交流についての強制執行について直接強制などの手法がなく、脆弱であることがあります。子どもを実力で確保すれば会わせなくてすむので子どもの物理的な奪い合いが起き、その手法として子の引き渡しの手法がもちいられます。面会交流は養育時間であり、親の監護権行使の一態様なのですから、子の引き渡しに直接強制がなされ、面会交流に直接強制をしなければ、親子を引き離す手段として子の引き渡しが濫用されるのは明らかです。したがって、今回の民事執行法で定められる2週間以内の直接強制など、強制執行に関するすべての手続きは、同様に面会交流の強制執行にも適用するよう、条文に盛りこんでください。

3 親子断絶に今回の民事執行法の改正手続きが濫用されないように、家庭裁判所に以下の各点を配慮するよう、条文に明記して下さい。

・実子誘拐(最初の連れ去り)の加害者が子の引き渡し請求をした場合には、被害者の監護権・居所指定権を考慮し、その適用には慎重な配慮がなされるべきこと。

・親権・監護権の指定について迅速な処理がなされるよう、交替居住・共同養育・双方の親の宿泊での滞在がなされるように、家庭裁判所がガイドラインを設けるべきこと。

・その適用にあたっては、性中立的な判断が求められるべきこと。

・親権・監護権の決定に至るまでの暫定的な監護権の設定が適用されるよう、共同監護(面会交流)の仮処分の手続きを柔軟に適用し、その基準については交替居住を原則とすべきこと。

 

以上